「はい、皆様こんにちは。
ランチタイムメガミックス(仮)のお時間が、きょうもやって来ました……。
……どうですかね?
『どうですかね?』というのは、つまり、ぼくの声、淀んで聞こえていませんか……? という、問いかけです。
ぶっちゃけ、ぶっちゃけね、
くたびれ始めているんで。
金曜日なので。
月曜日から、ずーっと、お昼休みのこの番組で、しゃべり続けているんで。
まあ……まだ、パーソナリティとして、慣れていない……というのが、大きく影響してるんでしょうけども。
そう考えると、前代パーソナリティの板東なぎささんの、タフネスぶりは……すごかったんだなあ。
――始めましょうか。
始めちゃいましょう。
ぼくのくたびれが、リスナーの皆様に伝染してもいけないので…。」
× × ×
「あらためまして、こんにちは。
番組3代目パーソナリティの、羽田利比古です。
……。
3代目にして、ぼくが、初の男性パーソナリティなんですよね。
ぼくも慣れないけれど、リスナーのかたのほうが、より一層、慣れてないんじゃないかという危惧が……。
ええい、もう。
ダウナーな番組進行は、やめましょう。
…これ、若干、自分自身に、言い聞かせてます。
ダウナーよりは、アッパーですよね!
ですよね!?
とりあえず、とりあえずですね、
アッパーな楽曲かけて、気分を上げていきましょう。
リズムアップですよ、リズムアップ……。」
× × ×
「……はい、どうだったでしょうか、この楽曲。
ぼくの姉は、
『この曲聴きながらコーヒー飲んでると、テンションが上がる』
と言っておりまして、それがじつは、選曲の理由だったんですけども。
……。やっぱり、ゲストをスタジオに招くなりしないと、番組を盛り上げていくのは難しい気がしてます。
というわけで――ここで唐突かもしれませんが、番組に出演してくれるかたを募集しようと思います。
生徒・教職員、問いません。
学校関係者なら、だれでもオーケーです。
あ、
ぼくの下駄箱に出演希望のお手紙を入れるのだけは、勘弁してください。
理由? それはじぶんで考えてください……。
下駄箱よりも、ぼくの教室に来てください。
そのほうが10倍マシなんですから。
…えーっと。
いま、机の上に、大量のお手紙が積み重なっておりますが。
なんと? それらのほとんどが、ぼくの姉に関する問い合わせなわけでして…。
皆さん?
紙は、限りある資源ですよ?
有効な利用方法を考えましょう?
――金曜日だけ、姉に関する問い合わせを、いっさいシャットアウトさせていただく曜日にしましょうか。
つまり、ぼくの姉うんぬんのことに触れるのは、月曜から木曜までに、限定!!
だってねえ。
姉だって、デリケートなんです。
もっと言うと、センチメンタルな存在なんです!
弟だから、だれよりも把握してるんです!
『あなたたち』とは、ストーカーまがいに姉を追いかける『あなたたち』とは、違うんです!!
すみません……取り乱しました。
……ですけど、姉だって、いろいろと忙しいのであって……そこはわかってあげてください」
× × ×
「――事前に予告しました通り、きょうのお便りコーナーは、テーマ縛りです。
『野球』というテーマでしたね。
時間も限られてるし、とっととさばいていきましょう。
……うん。
ラジオネーム、『土曜日の生アナゴ』さんからのお便り。
『羽田センパイは、ファン球団とか、ありますか?』
――1年の子なんだな。
はい、あります。
ハマスタにも、何度も行ってます。
姉がいちばんベイスターズ信者なんですけど、そもそも羽田家って、家族ぐるみでベイスターズファンなんですよね。
ぼくは、2004年産まれなんで、『横浜ベイスターズ』だったころの記憶、ほとんど抜けちゃってるんですけど。
姉はいわゆる『TBSベイスターズ』時代をぎりぎり記憶してるみたいですね。尾花監督とか。
…まあ、筋金入りなのは、両親ですよ。
父も母も、『大洋ホエールズ』だったころからの、信者なんですから。
『広島や阪神にいたシーツじゃないほうのシーツ』について、延々エピソードを聴かされたりとか……!
ラリー・シーツっていう助っ人外国人だったんですけど。
もっともラリー・シーツは、平成に入ってからの、『横浜大洋ホエールズ』の助っ人であって、もっと前の、昭和時代のホエールズについての『持ちネタ』も豊富に……。
脱線ですね、これ。脱線しちゃってるね。
この脱線ぶり、だれに似たのやら――。
――続きまして、ラジオネーム『梨田監督大好きおじさん』から。
どう考えても、生徒ではなく先生からの、ご投稿なわけですけれども、さて……」