【愛の◯◯】次期部長:桜子さん、次期副部長:瀬戸さん

はいどうも! 戸部あすかです。

 

新学期が、始まりました。

 

スポーツ新聞部も、絶賛稼働中なわけでしてーー 

 

 

@スポーツ新聞部の活動教室

 

わたし「桜子さん、今朝配った新聞なんですけど…」

桜子さん「なにかあったの?」

わたし「良いことです。

 花園…高校ラグビーの決勝戦の記事を書いたじゃないですか、わたし。

 そしたらその記事に反応して、読んでくれる子がけっこういたんですよー。

『この記事はあすかが書いたの?』って訊(き)いてくる子もいて。」

 

桜子さん「あすかちゃん人気ものなのね」

わたし「い…いえ……わたしはラグビーへの関心が高まってるのが、良い兆(きざ)しなんじゃないかということを、ですね……」

桜子さん「でも、記事を『あすかちゃんが』書いたこと、が注目される。

 

 あなたはスポーツ新聞部の花形なのね」

わたし「…花形……なんて、そんな……『巨人の星』じゃあるまいし…」

桜子さん「なんでそこでとぼけるの」

 

中村部長「なんでそうあすかさんをイジメるの、桜子はw」

桜子さん「勉強してください、部長。

 

 ねえ部長、これだけ書いた記事が注目を集めるのなら、次期部長はあすかちゃんでもいいんではないでしょうか?」

 

わたし「(思わず立ち上がって)どうしちゃったんですか!? 桜子さん」

 

中村部長「(手をヒラヒラさせて)ダメダメダーメ、桜子、ダメなものはダーメ。

 部長は現・2年の三人のうち誰かがやる。

 これ、部長命令。拘束力、MAX」

 

(くちびるをギュッと噛みしめる桜子さん)

 

そして、教室から逃げ出す桜子さん

 

 

 

わたし「……、

 桜子さん、

 体調でも、悪かったのかな」

 

瀬戸さん「プレッシャーだよ」

 

わたし「プレッシャー??」

 

瀬戸さん「あいつは、次期部長に自分が指名されるって、ビクビクしてるんだ」

 

わたし「瀬戸さん、どうして、そう言い切れるんですか…」

 

瀬戸さん「前々から2年組で話してたんだよ。

 『次の部長は桜子がいいよな』って。

 それで桜子も納得してたーー受け容(い)れてた、っていったほうがいいかな。

 でも、ポスト中村部長っていう自分の立場が、中村部長の卒業が近づくにつれ、重荷になってきた。

 わたしに中村部長の代わりが務まるのかーーっていう」

 

中村部長「桜子、そこまでボクを高く買ってくれてたの」

瀬戸さん「心の底では部長を尊敬していたんです、だからーー」

 

岡崎さん「でも瀬戸も悪いよなー」

瀬戸さん「はぁ!?

 

わたし「お、岡崎さん、話が見えてこないです」

 

岡崎さん「神岡、だよ」

瀬戸さん「神岡…恵那…

 

 ∑(*'д'*)ハッ!

 

岡崎さん「2年の周りで、瀬戸が水泳部の神岡といっしょにスポーツ用品店でデートしてたって、ウワサになってるんだ」

瀬戸さん「(*'д'*;)

 

中村部長「あー、そんなこと、どっかできいたかもなー、今週」

 

瀬戸さん「断じてデートじゃないよ。

 ほら、おれも競泳経験者だからさ、アドバイスを…と思って」

 

わたし「でも、アドバイスもなにもあるんですか?

 スポーツ用品店っていったって、競泳だったら、水着買うことぐらいしかーー」

 

瀬戸さん「(*'д'*;)

 

 

 

 

瀬戸さん「(Д`;)ごっゴーグルとかバッグとか、いろいろさっ、

 ちょっと桜子つかまえてくる!!

 (そう言うなり、教室をダッシュで脱出する)」

 

 

 

 

 

わたし「桜子さん……、

 水泳部の神岡さんに、嫉妬してたんですね。

 

 そんなに瀬戸さんをーー」

 

あれ?

 

岡崎さん、

岡崎さんが、なぜか、

とてもさみしそうな顔に。

 

どうして…?

 

× × ×

 

・桜子さんを引きつれて瀬戸さんが戻ってきた

 

桜子さん「あすかちゃん、ごめんね。

 バカみたいなこと言って。

 ちょっと荒れてたんだ、

 わたし。」

 

わたし「いえ、わたしも、少し自慢入ってましたから」

 

 

瀬戸さん、桜子さんを真正面に見つめる

 

 

桜子さん「ど、

 どうしたの、瀬戸くん、

 わたしの顔に毛虫でもついているの、」

 

瀬戸さん「桜子!」

桜子さん「!! (背筋を伸ばす)」

 

瀬戸さん「……やっぱり次の部長は、桜子がいいと思う。

 でも、そんなに気負わないでほしい。

 ーー気負う必要、ないからさ。

 落ち着けよ。

 な?

 

 なんなら、おれが副部長になってやるよ」

 

中村部長「あ、それいい」

わたし「いいと思います」

岡崎さん「異論なし」

 

瀬戸さん「おれと桜子で、ダブル編集長体制、みたいなもんだよ。

 そういうことにしよう。」

桜子さん「いいえ」

瀬戸さん「えっ」

桜子さん「わたしが部長で、瀬戸くんが『副』部長であるからには、わたしの指示に従ってもらいたいわ。

 上下関係。」

瀬戸さん「でも、桜子の負担が…」

桜子さん「だいじょうぶだから。

 ーーそう、だいじょうぶよ、きっと。

 

 わたしが部長で、あなたはあくまで『副』部長。

 それを忘れないで。

 

 次期部長命令。」

瀬戸さん「しょうがねーな……」

 

 

 

 

 

 

わたし「(ポツリと)ほんとうに大丈夫なんでしょうか……」

岡崎さん「気になる? やっぱり。

 ま、なんとかなるよ。楽観的にいこうよ」

わたし「そうですね。

 やってみなくちゃ、わかんないですよね」

岡崎さん「(;^_^)お、おお。」

わたし「ですが、わたしがいちばん気になるのはーー、

 岡崎さんです。」

岡崎さん「(;´Д`)なんで!?」