生と死。
夢と現実。
現在と過去と未来。
果ては、宗教や、国家ーー。
ただの恋愛小説じゃなくって、
そういった色んなテーマについて考えさせられるのが、
『グレート・ギャツビー』の奥の深さ、
なんだと思う。
星崎姫。
大学1年生。
文学部。
英米文学を学びたいと思ったのは、
高校時代に、
『グレート・ギャツビー』を読んだからだ。
× × ×
・大学にて
「おはよう戸部くん」
「星崎だ。
おはよう」
「ねえ、戸部くん」
「なんだよ」
「戸部くんはなんで英米文学やろうと思ったの」
「あー…正直に言うと、愛の影響だよ。
愛が持ってた本を読んで、それがシェイクスピアとかで。
西脇順三郎なんかも読んで、あのひとは英文学者だったからさ、
だよな? 星崎」
「西脇順三郎ってひと、はじめて知った」
「(;´Д`)こ、コラっ星崎、しっかりしろ!!」
「ーーしっかりしてるよ?」
「ほんとかよ?
大丈夫なのかよ」
「…どうして覚えてるの。
戸部くんには関係ないこと」
「(;´Д`)…詮索はしないが…」
「(意地が悪そうにして)戸部くんは『特定の作品』に影響されて英文学やろうとしてるわけじゃないのね」
「うっ……ま、そうだけど…。
そういう星崎は、なんで英米文学、なんだよ。
そうやって言うからには、英米文学やるきっかけになった『特定の作品』があるんだろ?」
「(流し目で見るようにして)……」
「お、教えてくれよ」
「ーー『グレート・ギャツビー』」
「(キョトーン)」
「なにキョトーンとしてるの。
もしかして知らないの!?」
「ーーいや、ほら、ギャツビーっていえば、汗ふきシートのこと、じゃね? って」
「あなたはほんとうにバカね。」