8月26日 アツマくんに手紙を書いた

◯日曜の昼下がり

(ソファーでぐったりしている愛)

 

あすか「昼ごはんだ、って呼んでも、なかなか降りて来なかったから、心配したんですよ?」

愛「手紙を書いてた」

あすか「手紙って、だれにですか?」

愛「アツマくん

あすか「ヽ(;゚д゚)ノ ェッ!! ひとつ屋根の下なのに、わざわざ手紙書く必要ないじゃないですか!!」

愛「(あすかの肩に手を置いて)手紙じゃなきゃ伝わらないし、伝えられないこともあるのよ…」

 

 

 

 

 

アツマくん

 

この前は取り乱してしまってごめんなさい。

なんだか最近、アツマくんに甘えてばっかり。

こんなわたし、嫌い?

 

本は、少しづつ読めるようになってきました。

でも、すぐ疲れてしまうので、まだ長い時間読むことはできません。

脳が休息を求めているのかな?

頭脳労働ができなくて。

じつは、夏休みの宿題、終わってないのがいっぱいあるんです(笑)。

むかしは、8月に入るまでに、必ず全部終わらせてしまっていたんだけど。

わたし、あんまり人のこと言えない。

「大学入試まであと少しなんだよ!!」って、アツマくんを焦らせる筋合いなんてなかったんだ。

 

でも、「おまえのおかげで現代文と英語の成績が上がったんだ」って言ってくれて、ありがとう。

もうひとつ感謝しないといけないことがあった。

水族館に連れて行ってくれて、ありがとう。

(ほんとうは、チケットをくれた藤村さんにも、ありがとうって言わなきゃだけど。)

 

勉強は、はかどっていますか?

無理をせずがんばってね。

受験勉強するのにウンザリしてきたら、プールに泳ぎに行かない?

遊園地のプールとかじゃなくて、ふつうのプール。

競泳用の水着しか持ってないし。

あれ、なんでわたしこんなことまで書いてるんだろう。

平泳ぎが得意なんだよね?

あれ、なんでわたしこんなこと知ってたんだろう。

 

……やっぱり、サ◯ーランドとか、ああいう遊園地系のプールがいいかもしれない。

でも、そっちに行くんだったら、着ていく水着がない。

学校の友だちやあすかちゃんと買いに行きます。

そのときは、しっかり受験勉強をがんばっていてください。

 

◯アツマの部屋

♪コンコンコン♪

 

アツマ「はーい」

愛「あけてくれる?」

 

ドアを開けるアツマ。

手に手紙のようなものが渡されたかと思うと、愛がダッシュで逃げていった。

 

アツマ「……なんじゃこりゃ」

 

 

◯夕方

 

愛「…………その、『あれ』、読んでくれた?」

アツマ「読んだよ。」

 

愛、不安と期待が入り混じった表情。

 

アツマ「おまえ、手紙書くの、下手だなぁww」

 

がっかりして、力が抜け出たように、座り込んでしまう愛。

 

あすか「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」

アツマ「あ・・・・・・」

あすか「なにが『あ・・・・・・』なの!?

 無神経!! 人でなし!!

アツマ「(呆然)」

 

突然走り出し、戸部邸から出ていこうとする愛。

 

アツマ「ま、待てコラ!!」

 

慌てて追いかけるアツマ。

門の手前。

立ち止まっている愛。

 

愛「そうだよね、手紙じゃ伝わらないこともあるよね……。

(アツマに振り向く)

 あのね、わたし、わたし、わたし、」

 

息を呑むアツマ。

 

愛「アツマくん、あなたのことが、たぶん」

アツマ「たぶん……? (;´Д`)」

愛「好きなんだと思う

 

 

 

 

 

流さん「おーい、ふたりとも、晩ごはんできるぞ~」

 

見つめ合って立ち尽くす愛とアツマ。

ただならぬ雰囲気。

 

アツマ「流さん、おれのぶん、とっといてくれ。あとで温めて食べる」

愛「じゃ、じゃあ、わたしも」

アツマ「おまえは食べろよ。」

愛「あ、あの、流さん」

 

流さん、柔和な表情で愛を見る。

 

愛(やっぱり、知ってたんだ、わたしの気持ち)

アツマ「(早口で)ちょっと考えさせてくれ」

 

邸の中に駆け戻るアツマ。

 

 

◯ダイニング

愛「おかわり

あすか「い、いつになく良く食べますね…これで何杯目ですか」

 

明日美子さん「(*´ω`*)」

 

終始微笑んでいる明日美子さんに目配せする流さん。

しょうがないなあ、といった表情の流さん。

 

愛「アツマくんのぶんも食べちゃおうかなあ

あすか「・・・・・・太りますよ。」