◯日曜の昼下がり
(ソファーでぐったりしている愛)
あすか「昼ごはんだ、って呼んでも、なかなか降りて来なかったから、心配したんですよ?」
愛「手紙を書いてた」
あすか「手紙って、だれにですか?」
愛「アツマくん」
あすか「ヽ(;゚д゚)ノ ェッ!! ひとつ屋根の下なのに、わざわざ手紙書く必要ないじゃないですか!!」
愛「(あすかの肩に手を置いて)手紙じゃなきゃ伝わらないし、伝えられないこともあるのよ…」
アツマくん
この前は取り乱してしまってごめんなさい。
なんだか最近、アツマくんに甘えてばっかり。
こんなわたし、嫌い?
本は、少しづつ読めるようになってきました。
でも、すぐ疲れてしまうので、まだ長い時間読むことはできません。
脳が休息を求めているのかな?
頭脳労働ができなくて。
じつは、夏休みの宿題、終わってないのがいっぱいあるんです(笑)。
むかしは、8月に入るまでに、必ず全部終わらせてしまっていたんだけど。
わたし、あんまり人のこと言えない。
「大学入試まであと少しなんだよ!!」って、アツマくんを焦らせる筋合いなんてなかったんだ。
でも、「おまえのおかげで現代文と英語の成績が上がったんだ」って言ってくれて、ありがとう。
もうひとつ感謝しないといけないことがあった。
水族館に連れて行ってくれて、ありがとう。
(ほんとうは、チケットをくれた藤村さんにも、ありがとうって言わなきゃだけど。)
勉強は、はかどっていますか?
無理をせずがんばってね。
受験勉強するのにウンザリしてきたら、プールに泳ぎに行かない?
遊園地のプールとかじゃなくて、ふつうのプール。
競泳用の水着しか持ってないし。
あれ、なんでわたしこんなことまで書いてるんだろう。
平泳ぎが得意なんだよね?
あれ、なんでわたしこんなこと知ってたんだろう。
……やっぱり、サ◯ーランドとか、ああいう遊園地系のプールがいいかもしれない。
でも、そっちに行くんだったら、着ていく水着がない。
学校の友だちやあすかちゃんと買いに行きます。
そのときは、しっかり受験勉強をがんばっていてください。
◯アツマの部屋
♪コンコンコン♪
アツマ「はーい」
愛「あけてくれる?」
ドアを開けるアツマ。
手に手紙のようなものが渡されたかと思うと、愛がダッシュで逃げていった。
アツマ「……なんじゃこりゃ」
◯夕方
愛「…………その、『あれ』、読んでくれた?」
アツマ「読んだよ。」
愛、不安と期待が入り混じった表情。
アツマ「おまえ、手紙書くの、下手だなぁww」
がっかりして、力が抜け出たように、座り込んでしまう愛。
あすか「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」
アツマ「あ・・・・・・」
あすか「なにが『あ・・・・・・』なの!?
無神経!! 人でなし!!」
アツマ「(呆然)」
突然走り出し、戸部邸から出ていこうとする愛。
アツマ「ま、待てコラ!!」
慌てて追いかけるアツマ。
門の手前。
立ち止まっている愛。
愛「そうだよね、手紙じゃ伝わらないこともあるよね……。
(アツマに振り向く)
あのね、わたし、わたし、わたし、」
息を呑むアツマ。
愛「アツマくん、あなたのことが、たぶん」
アツマ「たぶん……? (;´Д`)」
愛「好きなんだと思う」
流さん「おーい、ふたりとも、晩ごはんできるぞ~」
見つめ合って立ち尽くす愛とアツマ。
ただならぬ雰囲気。
アツマ「流さん、おれのぶん、とっといてくれ。あとで温めて食べる」
愛「じゃ、じゃあ、わたしも」
アツマ「おまえは食べろよ。」
愛「あ、あの、流さん」
流さん、柔和な表情で愛を見る。
愛(やっぱり、知ってたんだ、わたしの気持ち)
アツマ「(早口で)ちょっと考えさせてくれ」
邸の中に駆け戻るアツマ。
◯ダイニング
愛「おかわり」
あすか「い、いつになく良く食べますね…これで何杯目ですか」
明日美子さん「(*´ω`*)」
終始微笑んでいる明日美子さんに目配せする流さん。
しょうがないなあ、といった表情の流さん。
愛「アツマくんのぶんも食べちゃおうかなあ」
あすか「・・・・・・太りますよ。」