【愛の◯◯】1/3の純情な食欲

 

bakhtin19880823.hatenadiary.jp

 

↑前回のハイライト

 

…なぜかお父さんにお金をもらい、ハルくんと美味しいものを食べに行くことになった。

 

これって、で、で、デート 

 

夕方

待ち合わせの駅

 

「やぁやぁ」

 

ハルくん来た。

制服姿。 

 

「…こんにちは」

「なんだか久しぶりだね」

「そうかしら」

「たぶんそうだよ」

「ハルくんがそう思うのなら、そうなんでしょうね」

「えっw」

 

「ーーで、食べるところを決めていなかったと思うのだけれど」

「んー、予算がふんだんにあるからさ」

「あるから?」

「いちど行ってみたかったとこ…というより、『やってみたかったこと』があるんだよw

 これ、いちおう、アカ子さんのおごりっていう形式なんだよね?」

「い・ち・お・う・ね」

「ハハ…w もしかしたらアカ子さんにも『協力』してもらわないといけないかもしれないけど」

「きょ、協力?」

 

「ハルくん、雨だから、よかったらタクシーを呼ぼうかしら?」

(゜o゜; た、タクシー!?

なななななにそんな驚いてるの!? こっちがびっくりするじゃない

 

「タクシーで行くような距離じゃないよ。歩いてすぐのとこにあるからさ」

「な…なんて名前のお店なの」

『笹島飯店』

「ささしま……はんてん……、ささしま……………って、もしや」

 

 

笹島飯店

 

『笹島』は、サッカー部マネージャーのマオさんの名字。

予感は的中した。

マオさんの家は、中華料理店だったのだ。

 

神妙な顔つきで、エプロンをつけたマオさんが、わたしとハルくんが向かい合っている席に、お冷やを運んでくる。

 

心なしか、コップを持つ手が震えているようなーー。

 

ただ、マオさんからコップを受け取るわたしの右手も微妙に震えていた。

 

「中華料理、って言っても、大衆的な感じでしょ? 

 ほら、『渡る世間は鬼ばかり』っていうドラマがあったでしょ? むかし」

あったのね

「(大仰に)あ、あったのさ!! で、そのドラマの舞台になったお店も、やっぱりここみたいな感じで」

 

ハル!! ひとこと多い

 

「マオさん、注文したいんですけどお!!」

 

× × ×

 

わたし「ま、マオさん、わたしの服装、浮いてないですか…?」

マオさん「き、気にしすぎだと思うよ!!」

 

ご主人『お嬢ちゃん、どこの学校?

 

マオさん「と、父さん、なにいってんの」

 

(自分の学校の名前を言うわたし)

 

ご主人『へぇー! あったまいいんだね

マオさん「父さん!!

 

ハルくん「親父さん、親父さんのクルマって、たしか◯◯◯◯でしたよね」

わたし「!!!!!!!!!!

 

マオさん「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) バーン」

ハルくん「お盆で殴らなくてもいいじゃないですか!!」

マオさん「知ってて言ってるよね!? 知ってて言ってるよね!? ハル」

 

わたし「(震えながら)ど、どうも、うちのかいしゃのクルマが、いつもおせわになっております

 

ハルくん「さてと! 今日こそ笹島飯店の売り上げに貢献しますよっ」

 

あれ……。

きょう、完全に、ハルくんのペース。 

 

ハルくん「注文しますよ」

マオさん「早く言え」

 

ハルくん「じゃあ、これとこれとこれとこれとこれとこれと…」

マオさん「!?!?!?!??」

わたし「(身を乗り出して)ちょっとまってハルくん!? メニューのほとんどぜんぶ注文してるんじゃない!?」

ハルくん「足りるよ(シャキーン)

 

わたし「(;@_@)第一、た、たべられるの、ぜんぶ……」

ハルくん「余裕だよ(シャキーン)

 走りつづけてると、お腹がすくんだ。昼飯も抜いたしね~」

 

 

・異様な量の料理が運ばれてきた

・そしてーー

 

わたしとハルくんは、黙々と、運ばれてきた料理を食べ続け…、

ついに、完食した。 

 

ハルくん「ごちそうさま、アカ子さん」

わたし「…男の子の胃袋って、どうなってるの」

ハルくん「アカ子さんこそ

わたし「Σ(;・∀・)ドキッ

 

ハルくん「3分の2はおれが食べたけど」

わたし「3分の1はわたしが食べた」

 

マオさん「アカ子ちゃん、もしや、『食べても太らない体質』なんじゃ」

わたし「そんなことないですよ」

マオさん「そんなことあるよ!

 

 ……萌えポイント……

 

ハルくん「(背伸びをして)いや~おれまんぞくだよ」

 

わたし「あれっ、ハルくん、一人称がおれになってる」

マオさん「気づいちゃったかー。

 最近ナマイキになりやがってこのぉ」

わたし「……なんかかっこいいかも

マオさん「( ;゚д゚)えっ……………」