【愛の◯◯】気が済むまでムギューッ

……というわけで、

なんだかんだで、

さやか宅から帰ってきた。

 

…アツマくん、いるかな。

 

♪コンコン

 

<ガチャッ

 

「なんだぁ愛かぁ」

「アツマくん、いま、部屋入ってもいい?」

「遠慮すんなよ」

 

まず、

アツマくんは机の前に、

わたしはアツマくんのベッドに腰かける。

 

「さやかさんとこ、どうだった」

「いろいろあった」

「そっか…そうだよな」

 

「愛……おまえ」

「???」

「ここに帰ってから、服、着替えてるんだよな?」

「へ!? ななんかおかしい」

シャツが……裏返しじゃねえか?w

 

 

がーーーーーーん。

 

「ははははははw 愛らしくないチョンボだなー」

 

「アツマくん、わたしのこと、やっぱしよくみてる」

「へっ」

 

ねえ、アツマくん、こっちきて

 

「シャツは……直さなくていいのか」

「とにかくこっちきて、わたしの隣に座って」

「(^_^;)あ、はい」

 

アツマくんが、ベッドに座っているわたしの右横に座ってくれた。

 

「大学さ……どう?」

「まあまあだよ」

「英語、勉強してる?」

「あぁ」

「ドイツ語、勉強してる?」

「あぁ」

「授業、ちゃんと出てる?

 サボってない?」

「(かる〜くデコピンして)ばーか! 心配しやがって」

「な、なによー」

「サボってねーよ! しかも授業じゃなくて『講義』だ『講義』」

ん〜っ

 

「そうだよね、アツマくん大学のことは自分でやるって、言ってたよね」

「あぁ…ちょっとお前には説教くさかったかもしれんけど…(ポリポリ)」

「アツマくんなら、自分で乗り越えられるよ。大学も」

「そうかいそうかい…」

「有言実行だもん。

 だから……」

「だから?」

「だから…、だから………」

 

だからわたしは、

アツマくんの背中に、

ムギュっ、と抱きついた。

 

やっぱりーー、

あったかくて、

とても安心できる、

アツマくんの体温。

これがアツマくんの背中。

今だったら、

わたしずっと身を委ねていたい…。

 

い、いきなりなんだ!! おい

 

「(抱きついたまま)なかなか、さいきん、いっしょに晩ご飯食べられなかったじゃない、わたしたち」

「それは、仕方ない面も、な?」

「(しがみついたまま)デートだって全然できてないじゃん

「(^_^; う……」

「アツマくんの夏服買いに行くぐらいしたいよ」

「どっか行きたいんだな、ピュー〇ランドでも行くか? あんま金ないけど」

「そんなこといってるんじゃないの」

「はぁ?」

もっといっしょにいる時間がほしいだけ

「……( ;;'-' ) ま、まぁ、そもそもいっしょに住んでるわけだし」

「そんなこといってるんじゃないって!」

「じゃあなんなんだよ!」

 

アツマくん……きょうのお願い……。

わたしの気が済むまで、このままでいさせて……

 

「ε- (´ー`*) フゥ……いいよ。」

「暑くない?」

「ない」

「ほんとに? ありがとう」

 

 

・・・・・・

 

 

「なぁ……愛、おまえってさ……、

 

 

 や、や、やわらかいな

「フフフフッw わかってるじゃない」

「怒らないのかよ!!w」

「………」

「おい」

「……………………………………………………………………………………………………………………………スピー」

「ば、ばっきゃろ! 抱きついたまま寝るな」

 

 

 

「ま、いいや。

 

 今度どっか連れてってやるよ、愛。

 

(寝顔をじっ、と見て)

 気が済むまで、おやすみなさい」