【愛の〇〇】指切りしないと大学に落ちる魔法

「え、あさごはん、つくってくれるの」

「いっつもおねえさんが作ってくれてますからねー」

「いいだろ今日ぐらい。おれとあすかで全部やってやるからテレビでも観てろ」

 

 

 

『おぉいできたぞー』

『できましたよー』

 

「教育テレビ見てたのかよw」

「……チャンネル選択の自由。」

「きのうも夕方の教育テレビの子供番組観てませんでしたか?」

「児童文化センターに行ったから」

「ああ、小学生にすごくなつかれたって言ってましたねえ」

「お前子供に好かれるのか……」

「心底意外そうな目で見るわね( º言º)」

「ほらほら!    ごはんが冷めちゃいますよ!!」

 

「……ごちそうさまでした。」

「どうでした?     どうでした?(((^-^)))」

「ちょっと量が多かったけど、とても美味しかった。果物とかスムージーとか、たんにサラダだけ付け合わせました!    じゃなくて、工夫してたね、ふたりとも!」

「スムージーはおれが作ろうって言ったんだ」

「だと思ったw」

「やっぱ作りすぎだったかー、お兄ちゃん規準の分量にいつのまにか」

「お前が卵を使いすぎるからだろお」

「──昼のお弁当どうする、アツマくん」

「あ、きょうはいいよ、学食か購買か」

「そうだね、今から作ったら間に合わないか」

「愛……」

「ほえ?」

「毎日朝ごはん作ることが、すげえ大変だってわかった。ごめんな毎朝…」

「お兄ちゃん、そこは『ありがとう』でしょ?」

「そだな。

ありがとう。」

「おねえさん、おかーさん、ケーキを予約注文してるって!」

「ロウソク16本立てんとな」

「火をつけるのはお兄ちゃんね」

「火を消すのは?」

「はぁ?!    主役のおねえさんに決まってるでしょ、分からずや兄貴!」

「ハハハww」

「すみません、兄が風習というものを見過ごしていて」

「おもしろいwww」

「おい笑いのツボはまったんかよ」

「アツマくん、一緒にローソクの火、消さない?」

「……それは、恥ずいから、やめとくわ

(;´Д`)」

「じゃあ来年はそうしようね、指切りげんまん!    指切りしないと大学におーちるっ♪

「Σ((°Д°;)ヒエッ」

 

 

 

晩ご飯も、きょうだいふたりで作ってくれた。

 

わたし──

アツマくんとあすかちゃんが、ひとつ屋根の下にいてくれて、

幸せ者だ。

 

『ふぇっくしゅん!』

『どしたの、ながるくん?』

『えーとね、きょう誕生日なんだ、愛ちゃんが、さ』

『そうなんだ!』

『というわけで、きょうは早めに帰るよ。』

 

もちろん、流さんにも明日美子さんにも感謝しなきゃね。

 

流さんはおにいさん。

明日美子さんはおかあさん。

 

ああそうだアツマくんも年上か……

アツマくんは、さしずめ、

おとうさん!?

 

 

 

そういえば、わたし本当に幼い頃、

『わたし、おとうさんとケッコンする!!』って、本気で言ってたらしい。

 

……『おとうさん』を『アツマくん』に変えてみたら?

 

 

 

な、何考えてんの、わたしったらっ!