火曜深夜
なんか目が冴えて眠れないなあ。
気持ちも、昂(たかぶ)ってる気がして。
きょう家に帰ってからカフェインなんかまったく摂取してないのに。
音楽を聴きすぎたとかそういうわけでもないし。
それに──
今夜はわりとはやくベッドに入ったのに。
何故かって言うとね。
じつは、明日(11月14日、水曜日)が、わたしの誕生日なんです!!
あ、日付、変わってる。
もう明日じゃない、
今日がわたしの誕生日だ。
あ、
弟の利比古(としひこ)からメールが。
💛💛💛
『ハッピーバースデー、お姉ちゃん!』
「もうっ、少し早いよ~w」
わたしはスマホをぎゅっと抱きしめた。
……で、感慨に浸っているわけにもいかず。
あしたはもちろん学校があるので。
早く寝なきゃ、なんですけど。
本が溢れて出てきそうな本棚と、
今にも崩れそうな積ん読。
どんな本読んだら眠れるかしら。
難しい本。
パズルを解くように訳文を噛み砕く哲学書とか……
カントの3大批判書ほか、難攻不落という悪名高い哲学書を机の上に重ねて、読もうとした。
けど。
途中から筆記用具片手に読書に熱中してしまい、
さらに眠れなくなった……(;^ω^)
もう一度、お風呂にでもゆっくり浸かろうかなあ。
1階の浴場に来た
脱衣所
わたし(お湯が張ってある。だれか入ろうとしてるんだろうか。
流さんやアツマくんだったら気まずいな……
どうすればいいんだろう)
♪ガラッ♪
あすかちゃん「あ、おねーさんだぁ」
わたし「あ、あすかちゃん?!
随分夜更かしねえ。お風呂これから入るの?」
あすかちゃん「もう一回。ちょっと受験勉強でクサクサしちゃって」
わたし「あと三ヶ月もしたら入試だもんねえ」
あすかちゃん「そうなんですよ、はやいはやい……(そう言いつつシャツを脱ぎ捨てる)」
わたし「Σ(゜д゜lll)ウッ」
本能が、目のやり場に困っている。
あすかちゃん「……どうしたんですかあ?」
(あすかちゃんに背を向けて、ポロシャツのボタンを外そうとするわたし)
あすかちゃん「おねえさんも一緒に入りますよね?」
わたし「うん。(気もそぞろに上着を脱ぎ、脱衣所の棚に入れる。あすかちゃんに『前』を見られないように)」
あすかちゃん「フロントホックですかぁ?」
わたし「Σ(OωO )」
あっ、
振り向いてしまった……
あすかちゃん「縦縞が入ってるの、可愛いですね♪」
わたし「……(恥ずかしくて、胸元を腕で隠す素振り)」
あすかちゃん「なんで隠すんですか?
バカ兄貴の前じゃあるまいし」
わたし「そりゃ、アツマくんの前だったら、もっともっと恥ずかしいけどさぁ!」
わたし「あすかちゃんのブラジャー、大きくてうらやましいのよ( 。í _ ì。)」
淡い青地に星模様が散りばめられて……
もう、中学生がつけるようなブラジャーは、とっくに卒業してるんだね。
カップの形状とか、大人向け。
あすかちゃん「ワイヤー入りのブラ、最初はワイヤー、やっぱりきつかったんですけど、最近慣れて来て。」
わたし「わたしはワイヤー入りのブラあんまり持ってないから……」
あすかちゃん「まだバストに硬さが残ってたりしますか?」
わたし「ううん、あんまり」
あすかちゃん「じゃあわたしとおんなじですね!」
わたし「ブラジャーに関しては、あすかちゃんとわたし、同級生みたいだね」
あすかちゃん「ブラ友(とも)かあ」
……なんかあすかちゃんがブラを外す手際、すっごく自然な感じがする。
わたし、ちょっとだけ、まだ、つけたり外したり、ホック留めるのに手間取るときがあるのに。
高校生にもなって、毎日している動作なのに、不思議とブラジャーの取り扱いが、つけ始めの12歳の女の子みたいなのとさほど変わりなく。
わたし「ファー( ˊ࿁ˋ ) ᐝ」
あすかちゃん「眠いんですか」
わたし「眠いけど(うつらうつら)」
なんとか入浴し部屋に戻った
と思いきや……
♪ちゅんちゅん♪
あ、
朝だ。
どうやってあすかちゃんとお風呂入って、どうやって眠ったんだろう、わたし。
『おねーさんっ!』
『お誕生日おめでとうございます!』
わたし「おはよう、そしてありがとう」
あすかちゃん「えへへー」
アツマくん「おめでとう、愛」
わたし「……うれしい、ありがとう。」
「ところでアツマくんの誕生日は?」
「来年だよ、来年」