戸部邸
さやかがきた
「愛、読書の調子は、どう?」
「読んでるよ、本。
……読んでるけど、読んでるけど、読んでるけど……」
「ど、どうしたの!? 深刻そうな顔して」
「すぐ疲れる」
「ーーわかった。
精神が緊張するような本ばっかり読んでるんでしょ」
「どうしてわかるの?
でも、さやかだって、そういう本しか、もう読みたくないでしょう?」
「具体的に何を読んでるか、わたしに教えなさーい」
わたしは、さやかに、読んでいる本の具体的な書名を教えた。
「……それは、がんばりすぎだよ、愛……」
「だってーー」
「負荷がかかってるところに、さらに負荷をかけてどーすんのっ」
「じゃあわたし何を読めばいいの」
「…マンガ?」
「えっ」
「読書の程度を落としたくない気持ち、わかるよ。
『軽い本』を読むのがイヤだったら、いっそのこと、マンガ読んじゃいなよ」
「…ずいぶん極端ね」
「きょ、極端だったのは、じぶんでも認める」
「それに、『軽い本』って、なにw」
「話せば長くなっちゃうからーー」
「ねえ、愛、もっとじぶんを大事にして」
「え、いきなりなにさやか」
(わたしの左肩にだまって手を置くさやか)
「(・_・;)……」
「じぶんを大事にするってことは、アツマさんも大事にするってことだよ」
「ど、どうしてそこでアツマくんが」
「好きなんでしょ?
好きなんなら、もっと好きになんなよ。
そのためには、まずじぶんを大事にして、好きになってーー」
「さやかの理屈は、正直わからない。
でも、ひとが理屈じゃ通らないこと言ってるときって、かえって、納得するーー。」
「納得したなら、じぶんを大事にすること!w」
「じぶんを大事にするためには、どんな本を読めばいいの?」
「(;-_-)…すぐ読書につなげるんだね。
愛らしいっちゃ愛らしいけど」