【愛の◯◯】3紙が4紙に

 

スポーツ新聞を4紙広げている。

我が家は長らくニッカン・スポニチ・サンスポの3紙を定期購読していた。

さらに今年からもう1紙、スポーツ新聞を定期購読するようになったのである。

 

4紙の1面記事を比較検討していたわたし。

だったのだが、

 

「うお~~、スポーツ新聞かあ~~、あすか」

 

と、後頭部をポリポリと搔きながら……兄がリビングにやって来てしまったのである。

 

「このテーブル、バカみたいにデカいから、スポーツ新聞4つあっても余裕で広げられるな」

 

お兄ちゃんもバカみたいにマヌケ面(づら)だよね。

声に出しては言わないけど。

 

「ニッカン、スポニチ、サンスポ――ええと、もうひとつの新聞は――」

 

青春(せいしゅん)スポーツ。略して『青(あお)スポ』

 

「ほほーっ」

 

「…もしかしてお兄ちゃん、『青春(あおはる)スポーツ』って読みだとか思ってたの??」

「や、新しくとったスポーツ新聞だから、馴染み薄くて、『せいしゅん』か『あおはる』か曖昧になってたんだ」

 

溜め息をつくわたし…。

 

「なんだよ。土曜の朝っぱらから呆れてんのか? おれに」

「少し」

「おまえも懲りないなあ」

 

笑いながら言わないでよ。

愚兄。

 

「あのねぇお兄ちゃん。

『青(あお)スポ』は、フェアなんだよ!?」

「フェア?? フェアってなにさ」

「ずいぶん鈍感なんだね。

 フェアってことは、公平ってこと。

 特定の球団ばかり報道する某新聞や某新聞とは大違いなの」

「…アレだろ。おまえがdisりたい新聞って――」

「別に◯◯や◯◯◯◯が嫌いなわけじゃないから」

 

愚兄の愚かな微笑。

 

『危ない橋、渡ってんなあ。ほーんと、しょうがねえ妹だ』

 

そういったココロの声が聞こえてきそうな、キモい笑い…。

 

愚かなお兄ちゃん。

馴染んでよね、早く――『青春(せいしゅん)スポーツ』にも。