マンション部屋。朝食後のダイニングテーブル。
梶原一騎原作・川崎のぼる作画の超有名野球漫画『巨人の星』を読んでいる。
昭和40年代の「現代劇」なのだ。現在(いま)に繋がる風景が出てくる。飛雄馬(ひゅうま)が住んでいた場所にスーパーマーケットが建てられようとしている……そんなシーンもある。
いわゆる「高度成長期」。都市はどんどん発展しているように見える。でもそれは「表面的な発展」に過ぎなかったのかもしれない。
終戦から20数年……。人々の「暮らしの質」は果たして、どの程度変化していたのだろうか?
× × ×
どこからともなく愛(あい)が現れて、
「難しい顔して漫画読んでる。しかも、『巨人の星』」
「考えながら読んでるんだよ」
「いい度胸ねぇ。ベイスターズファンのわたしの前で『巨人の星』を読むだなんて」
おまえ、マジでホントに、そういう危険な発言を口から出すのはやめておけよ……!!
「禁止だ、禁止!!」
「え、何が禁止なの」
「決まってるだろ。『巨人の星』に言及するなってコトだよ。おまえ、ブログに書けないコトまで言い出しちまう危険性があるし」
大リーグボール養成ギブスを破壊するかの勢いで、おれのパートナーの全身が震え始める。
ダイニングテーブル上の『青春(せいしゅん)スポーツ』紙を掴み取るパートナーは、
「漫画単行本じゃなくて、あなたの妹がコラムを書いてる『青(あお)スポ』競馬面を読みなさい!!」
と怒鳴りながら、おれの頭部に『青スポ』を被せようとする……。