マンション部屋。夕食後のダイニングテーブル。
「おまえの後輩の拳矢(けんや)くんは今どうしてるんだ」
アツマくんが訊いてくる。
「プライバシーってモノがあるでしょ?」
わたしははぐらかす。
「拳矢くん、おまえと同時に卒業しただろ。彼の進路について、おまえから一切知らされてないんだが」
スウッと席を立つわたし。
リビングの本棚に黙って赴く。某・声優雑誌を引き抜く。ダイニングテーブルに舞い戻る。アツマくんに某・声優雑誌を見せる。
「もしや、声優好きの拳矢くんだから、この雑誌の編集者になったとか」
「ちが~う」
「そうなのなら、おれに声優雑誌を見せてきた理由は」
問いに構わず、
「拳矢くんは、声優をテーマにした小説を書き進めてるの。2人の若手女性声優が織りなすドラマティックなストーリーの小説を……!!」