「ねえねえ聴いてよアツマくん」
「なんだ? 愛」
「わたし昨日、大学キャンパスの図書館で5時間読書したのよ」
「ぶっ続けで?」
「ぶっ続けで。カフェテリアでお昼食べてから、夕方までずっと」
「そりゃあ、どういう持久力かって話だな」
「褒めてくれてるの」
「ああ。おれにはとても真似できないよ」
「真似できないって思ってるの? あなたにも長時間読書できるスタミナはあるはずよ?」
「5時間は無理」
「どーして自分から自分の可能性を狭めていくのよ」
「まさかおまえ、『連休中は読書マラソンをするのよ!!』とか言い出さないだろーな」
「読書マラソン……良い響きね」
「おい本気か」
「あなたは社会人だけど比較的ゆとりがある方だし。……そうだ、こうしましょう。3連休の内に読書マラソンをしてくれたら、1000ポイント進呈」
「ポイントシステムは廃止されてなかったんか」
「当たり前」
「にしても読書マラソンって。何時間ぶっ続けで読書させる気だ」
「5時間。」
「うげぇ」
「次に『うげぇ』とか言ったら500ポイントマイナスよ」
「うげぇ……」
「あなたばかなの!?」
× × ×
「5時間ぶっ続けで読書するのと、5時間ぶっ続けでアニメ観るのとじゃ、全然ワケが違うんだよ」
「えっ……アツマくんどうして……アニメを持ち出してくるの」
「テレビ神奈川ってあるだろ」
「あるけど」
「かつては土曜日に、明け方まで深夜アニメをぶっ通しで放送していたらしくて。おれにも、明け方までテレビに張り付いてアニメ観続けるぐらいならできるかもなー、と」
「うわぁ……」
「なんじゃいな、その怯えたようなリアクションは」
「あなたがそんなにオタク気質だったなんて。そもそも、テレビ神奈川の事情にどうしてそんなに詳しいのよ」
「愛よ。テレビ神奈川を見くびってはいけない」
「み、見くびってないし」
「ほら、テレビ神奈川とかテレ玉とかの超ローカルな番組観てると……和むだろ」
「な、和むってなに。話がどんどん逸れていってるじゃない……」
「テレビ神奈川とかテレ玉とかMXはうつるんだよな。問題はチバテレビだ」
「……チバテレビが、なにか?」
「チバテレビ視(み)たコト、これまで1度も無くて。だから……憧れるよな、チバテレビ」
「チバテレビに憧れてどーするのよ!?」
「おまえの弟だって憧れてるはずだぜ?」
「はい!?」
「あいつテレビ大好きっ子だろ。テレビ神奈川やテレ玉やMXやチバテレビ……。そういったローカル局について、きっと熱く語ってくれるはずだ。それこそ、5時間に渡って語ったりもして」
「わ、わ、わたしの弟をそんな風に言ったら、マイナス1500ポイント」
「なんだよ〜。あいつの『そういう側面』がおれは好きなんだよ」
「勝手に好きになってたら!?」