「おねーさん、今日は短縮版ですよ」
「そうなのね、あすかちゃん」
「文字数は特に定めず」
「わかったわ」
「昨日は兄貴の部屋に突撃したわけですが」
「サンドイッチ作戦、大成功だったわよね」
「はい、両側から兄貴を押さえ込んでいって。まさにタジタジな兄貴を味わうことができました」
「あすかちゃーん」
「?」
「『兄貴』じゃなくて『お兄ちゃん』って言ってあげなさいよぉ」
「えー」
「イヤなの?」
「イヤじゃないです。けど、『お兄ちゃん』って呼び続けるのが恥ずかしいときもあって」
「あら」
「ハタチも間近になってるのに、甘えてる感じがしちゃって」
「まあ、そーよねえ。甘えるのにも恥ずかしさはあるわよねえ」
「おねーさんはいいんですよ。兄の恋人なんですから。それに普段はふたり暮らしなんだし、どんどん甘えちゃってください」
「そうね」
「兄をどうかよろしく」
「……連休明けから、ふたり暮らし再開なんだけど」
「ハイ」
「今度は、彼のどの部分に抱きつこうかしら?」
「おねーさん、なんか……エロい」
「ところで、あすかちゃん」
「なんですかー?」
「『美少女』ってコトバが、あるじゃない」
「? ありますが」
「何歳までが『美少女』で、何歳からが『美少女』じゃなくなるのかしら」
「定義の問題ですか??」
「そ。『美少女』と呼べる範囲」
「んーー。
大学生にもなると、ちょっと美『少女』は苦しくなっちゃいますよねえ」
「そうね、わかるわ。『女子』大学生とは言えるけれど、『美少女』大学生なんて言いかた、ちょっと苦しいわよね」
「『少女』と『女子』の区別も曖昧」
「うんうん」
「……」
「あれっ、どうしたのよあすかちゃん。急に思案顔みたいになっちゃって――」
「……おねーさん。」
「??」
「おねーさんは今、大学3年生ですけど……」
「そうだけど、なあに??」
「大学3年ではあるけれど。
いくつになっても、おねーさんは、『パーフェクト美少女・羽田愛』なんだと思いますよ」
「な、な、なにかなあ、それって」
「おねーさぁん。
狼狽(うろた)え過ぎに、ご用心……」