「ムラサキくん」
「なに? 茶々乃(ささの)さん」
「わたし、けっこう久しぶりにこのブログに登場するわけなんだけど」
「うん」
「放置されてるのかな!?」
「お、穏やかじゃないよ、茶々乃さん」
「不穏にもなるよ!」
「そんな」
「たぶん、たぶん。管理人さんも……わたしが前回いつブログに登場したのか、忘却しちゃってるんじゃないかな!?!?」
「かっ管理人さんは、そんなに薄情じゃないと思うよ」
「ホント!?」
「落ち着いて」
「……」
「だ、だからあ、落ち着いてって」
「管理人さんには――」
「……には?」
「わたしの所属してる児童文学サークルのこと、もっと掘り下げてほしいかなーって」
「……なるほど」
「今年は、うさぎ年でしょ??」
「そうだね、うさぎ年だ」
「うさぎに因(ちな)んだ企画を、ウチのサークルで考えてるの」
「『虹北学園(こうほくがくえん)』だね」
「そ。『虹北学園』」
「具体的には?」
「生協に書籍売り場があるでしょ?」
「あったっけ」
「なんでそこでとぼけるの!!」
「ヒエッ」
「まったく……。
あのね、書籍売り場でね、『うさぎフェア』をやりたいの」
「『うさぎフェア』?」
「うさぎに因んだ絵本や物語を、たくさん売り場に並べるんだよ」
「え。でもそれって、子供向けでしょ? 大学の書籍売り場だよ??」
「わかってない。甘い」
「そ、そーだろうか」
「甘いよねムラサキくん。クリームたっぷりのショートケーキみたいに甘いよ」
「ん……」
「ただでさえ童顔なのに、ますますコドモっぽく見えてきちゃう。
あのね!
大学の書籍売り場だから、逆に需要があるってこと!」
「需要?? イマイチわかんないな」
「絵本や童話は、あんがい大学生に人気なんだよ」
「そうなのかな」
「とりわけ、女子には」
「ああ……なんとなく理解できるかも」
「それと、大学の書籍売り場は、教授(せんせい)も利用するから」
「――自分の子供に、買い与えたり?」
「そう!! そういう需要」
「ふむ……」
「ムラサキくんにしては、今の指摘は冴えてたね。花マル、してあげるよ」
「花マルって……いったい、どこに……」