「おねーさんおねーさん」
「なあに? あすかちゃん」
「昨日、どうでしたか? 徳山さんと」
「あー。
…んーっとね。
勉強を彼女に、一生懸命教えてあげるつもりだったんだけど…。
『年末年始疲れ』みたいなものが、タイミング悪く出ちゃって……」
「教えてあげられなかった?」
「ほとんど、彼女の自習みたいな感じになっちゃった。『愛さんは休んでいてください』って」
「徳山さんも優しいですね」
「『とりあえず、寝ましょうよ』って言われたから、言われた通りにしてベッドに寝転んで、勉強してる様子を見たり見なかったり……だった」
「徳山さんはベッドに来なかったんですか」
「す、スケベなこと言わないでっ、あすかちゃんっ」
「えへ」
「……あすかちゃん。
あなた、『スキンシップが効果的だよ』とか、徳山さんに言ってたらしいわね」
「ハイ、言いましたが」
「……」
「されたんですか? スキンシップ」
「……されなかったって言ったら、嘘になるわね」
「くわしく」
「スケベなんだから……」
× × ×
「――そうですか。徳山さんの積極的な愛情を、おねーさんは受け止めたわけですね☆」
「積極的な愛情とか言わないのっ、あすかちゃん」
「きびしい」
「……。でも、彼女も、わたしのことが『見えてる』のね」
「『見えてる』?」
「わたしのコンディションを熟知してるみたいだったの」
「女同士だからじゃないですか?」
「そういうものかしら」
「いちばん熟知してるのは、わたしですけどね☆☆」
「こらっ、星マークを2つ重ねないの」
「おこられた」
「…あのね」
「なんですか?」
「同じ女子からの目線、なんだけど…。
徳山さんって、スタイルいいわよね。
165センチぐらいあって、脚も長くて」
「妬(や)いてるんだ、おねーさん」
「そ、それはどーかしら」
「ぜったい、妬いてる」
「……そんなことないから」
「まあたしかに彼女は、良い体型してるんですけど、」
「?」
「フフッ」
「――もしや、あすかちゃん」
「その、もしやです」
「『胸なら、わたしが勝ってる』――って、言いたいの」
「わあ、おねーさんもずいぶんスケベなんですね!!」
「――なに張り合ってるのよ。もうJKじゃないでしょ?? あなたも徳山さんも」
「わたしは見ましたから。見た上で、ますます自分の◯◯に自信を持って――」
「はいはい」