【愛の◯◯】納得の新・幹事長と新・副幹事長

 

こんにちは。

おれ、松浦裕友(まつうら ひろと)です。

東京都のとある大学で政治を経済する学問を学んでおります。

出身は広島県です。

でも、カープファンでもサンフレッチェファンでもありません。

お好み焼きは……やっぱり広島風がいいかなあ。

広島市はかなり都会なんですが、実は広島にはテレビ東京系列の放送局がありません。

岡山県香川県ではテレ東が視(み)られるのに。

なんでかなー。

 

…広島のテレビ局を列挙していても仕方がないので、さっさと本編に入っちゃいましょうか。

 

× × ×

 

所属サークルである『漫研ときどきソフトボールの会』のお部屋。

 

かぐや様は告らせたい』の単行本を読みまくっていた久保山(くぼやま)幹事長が、第27巻の単行本をパシン、と閉じた。

 

・おれ

・久保山幹事長

・有楽(うらく)副幹事長

・郡司健太郎(ぐんじ けんたろう)

・高輪(たかなわ)ミナ

 

部屋にはこの5名。

 

「――さてと」

久保山幹事長はそう言って、隣の有楽副幹事長に流し目を送る。

が、

「なーにわたしの顔色うかがってんのよ、久保山くーん」

と有楽先輩は。

「うかがってる……わけではない」

「ほんとお~~??」

 

有楽先輩……高めのテンションだな。

 

それはそうと。

 

心持ち真面目な眼つきになった幹事長は、軽く咳払いして、

「えーーっと。

 おまえら3年生トリオもご存知なように、おれたちの次の代の『幹部』を決めなきゃいかん時期になった。

『幹部』ってのはもちろん、幹事長と副幹事長のことだ。

 つまり、おれと有楽の後任のことなんだが……やはりプレーンに、おまえら3年生トリオの中から指名することにした。

 松浦も郡司も高輪も、3年生の中では貢献度が高いんだしな」

 

貢献度が高いっていうより、3年で定着してるのって、おれたち3人ぐらいなんだよな……と思ったが、幹事長にツッコミを入れるべきではないので、なにも言わないでおく。

 

話を続ける幹事長。

「で、まずは、幹事長だ。

 おれの後任ということになるんだが……。

 

 高輪。

 

 おまえに、あとを任せたい」

 

高輪ミナは幹事長の真向かいに座っている。

真向かいの高輪に幹事長が視線をそそぐ――。

 

「おれたち4人で協議して――高輪に任せる、という結論になった。

 まあ、みんな納得してくれるだろ。

 現在(いま)の松浦と郡司を見ても、なるほど納得、っつー顔になってるし」

 

幹事長の言う通り、高輪に幹事長を引き継ぐことになんら異論は無い。

郡司も、おんなじ気持ちのはずだ。

郡司の表情が…物語っていた。

 

「高輪、」

おれは言う。

「このサークルを操縦できるのは……やっぱ、おまえだよ」

おれのコトバに対して、高輪が、

「それは、わたしを信頼してるってことでいいの?」

と訊くから、

「そうだよ」

と答える。

「わたしに――ついてきてよね。松浦くん」

「ついていくさ」

「そう言うのなら、今この瞬間から、責任感を持って」

「い、いや、いちばん責任感を持つべきなのはおまえだろう、高輪…」

「アッごめんそうだった」

 

…おいおいっ。

 

「ちょっとちょっと、ミナも松浦くんも、あんまり茶番演じすぎないでよ」

 

…すみません、有楽先輩。

 

「副幹事長も決めるんだからね? ――わたしの後任。」

 

…そうでありました。

 

「――もう分かっちゃってるんじゃないの?? 3年生トリオには。

 ねえミナ、松浦くんと郡司くんのどっちをわたしが選んだか、分かるでしょ?」

 

「郡司くん、ですよね。」

 

高輪は、すぐに答えた。

 

おれも含めた注目が、郡司に集まる。

 

「有楽先輩」

郡司は言う。

「おれも、分かってました」

 

有楽先輩は、

「それなら、話は早そうね。

 …高輪ミナと郡司健太郎の新体制の、始動だ

 

久保山幹事長に有楽先輩が流し目を送る。

 

久保山幹事長は……深く、うなずく。