「愛」
「え、なに、アツマくん」
「きょうは…調子、どうだ?」
「え! 気づかってくれてるの」
「…気づかうよ。」
「ありがと」
「…そんで、調子は」
「グッドなほうに向いてると思うわ。矢印上向きってこと」
「そりゃ良かった。ホッとした」
「ところで――」
「? なんじゃいな」
「わたしのコンディションのこととは全然関係ないんだけど」
「――?」
「このブログの管理人さんから連絡が入って」
「中の人?」
「中の人。」
「どんな連絡だよ」
「『あしたは、ブログお休みします』って」
「…日和ったんか。管理人のヤツ」
「こらこら、『管理人のヤツ』なんて汚いコトバ使っちゃダメでしょ?」
「…」
「ね?」
「…チッ」
「管理人さんには、休む理由がちゃんとあるみたいよ?」
「なんなんだよ、理由って」
「ひとことで言えば――」
「言えば?」
「取材旅行」
「な、なんだよそれっ、どこに行くってんだよ!?」
「それはヒミツだそうよ」
「……。なーんか、今年の2月の辺りでも、そんな理由で更新休んだことがあった気が」
「まあね。
あの時は大旅行で、今回は小旅行だって」
「……ケッ」
「お行儀悪いわよ、アツマくん」
「……中の人には中の人なりの事情があるってのは、わかるけどさ」
「? なにか、管理人さんに言いたいことでもあるの」
「あー、あるぜ??」
「教えてよ」
「最近の傾向だが……なんだか、記事が投げやりに書かれている気がする」
「エーーッ」
「お、おまえは、そう思わんのかよっ」
「頑張ってるでしょ……管理人さんは。
それに、」
「それに、??」
「『記事が投げやりに書かれている』とか、登場人物であるわたしたちが創作者である管理人さんにツッコむのは、ちょっと違うと思うの」
「……そうだろうか」
「メタフィクション過ぎるでしょ」
「お…おまえだって、『登場人物であるわたしたち』…とか、言ってるし」
「アツマくん」
「な…なんだよっ」
「切り替えましょ?」
「…なにをなにに切り替えるってんだ」