「――はい! ランチタイムメガミックス(仮)が始まったわけなんですが、なんと本日はスペシャルゲストをお呼びしています!!
野々村さん――自己紹介、して??」
「……」
「だ…黙られても困るんだけどなー、野々村さーん」
「……野々村ゆかりと申します」
「え、それだけ!?」
「だって、自己を紹介できるようなことも無いし」
「そんな」
「せいぜい、羽田くんと3年連続クラスメイトであることぐらい」
「…なにかあるでしょ。もっと」
「わたしには…『属性』が無いから」
「ぞ、属性!?」
「部活やってないし」
「……」
「羽田くん。ちょっと訊いてもいい?」
「な、なにを……」
「『属性』って、英語だとなんていうのかな」
× × ×
「――羽田くんは英語パーフェクトで、いいよね」
「まあ、いちおう帰国子女だし」
「羽田くんはさぁ」
「?」
「持ってるんだよね。いろいろ」
「??」
「把握できないの!? わたしの言ってること。わたしにはなんにも無いけど、羽田くんにはいろいろ有るよね――ってことだよ」
「…お、お便りコーナー、行ってみよっかな」
「逃げるんだね」
「ぐ…」
「羽田くんは逃げ足が速いからねぇ」
「ぐぐ…」
「どうして手がそんなに震えてるの? 図星だってこと??」
「――ハァ」
「え、いきなり溜め息って。おかしいよ、羽田くんのリアクション」
「読むお便りを変更しようと思います。前もって読もうと思っていたお便りは、来週の月曜日に。ご了承ください」
「…なに言うの。お便りを変更…とか」
「『問い合わせ』が、来てるんだよ」
「問い合わせ……?」
「野々村さん。きみについての、問い合わせ」
「は、はいぃ!?!?」
「もっとハッキリ言っちゃうと、きみの弱点を知りたいって問い合わせだ。
……唖然としてるね。
でも、ぼくだって、やられっぱなしじゃいられないし」