『ソースケ』
『ん?』
『今回は、短縮版だよ』
『えっ…。いきなり言われても。短縮版って…??』
『短縮するの』
『た、短縮って、なにを』
『とにかく短縮するのっ!!』
『マオ……!?』
『状況説明しておくね。わたしはマオ。遠距離彼氏のソースケと、現在ビデオ通話の最中』
『その状況説明は、だれに向かって?』
『つべこべ言わないのっ!』
『……』
『わかった!?』
『……。
なんか、照れる。
遠距離彼氏って、おまえに言われると』
『ええっ、なにそれ』
『ハハハ…』
『そっソースケっ、あんまり話をそらさないで』
『いーや、そらす!!』
『ばバカッ、バカバカッ』
『…マオよ。おまえのリアクションも、激しいな』
『ソースケっ……。』
× × ×
『……今回の、禁止事項、設定した』
『設定??』
『ソースケは、夏競馬の話題禁止。あんたは、すぐお馬さんの話題に持っていこうとするし』
『厳しいなあ』
『厳しいに決まってるし。どーせ、明日の中央競馬のメインレースを語りたがってたんでしょ』
『よくわかったな』
『わかる!!』
『――遠距離彼女、だから?』
『ソースケ、いま……わたしのこと、遠距離彼女、って』
『おまえが『遠距離彼氏』って言ったから、お返しだよ』
『……』
『うれしそーだな』
『え、遠距離じゃなかったら、あんたを叩いてるのにっ』
『叩く? おれの、どの部分を??』
『うるさいっ』
× × ×
『ソースケあんた、向こうでとんこつラーメンばっかし食べてるんじゃないでしょーね?』
『食事の話題かよ』
『ラーメンが主食になってないか心配』
『そんなわけないだろー』
『……きょうのお昼、なに食べた??』
『『うまかっちゃん』』
『え!? うまかっ……ちゃん!? なによ、それ』
『知らないのか? ハウス食品の袋ラーメンだ』
『け、結局ラーメン食べてるんじゃん!! バカじゃないのあんた』
『…毎食じゃないから』
『そ…そーゆーもんだいじゃなくってですね、』
『マオ。』
『!? 突然マジ顔!? なんなのソースケ』
『おれが、東京に帰省した暁には――』
『に、には!??!』
『マオ、おまえが作ったラーメンが、食べてみたいな』
『――マジ?! ソースケ』
『マジに決まってる。
しょーがない遠距離彼女だな、おまえも』