「さやかちゃん、きょうは短縮版よ」
「えっ……。アカ子、詳しく」
「土曜日の記事は、文字数が少なくなりがちなの。管理人さんのスケジュールの都合ね」
「それで……手早く更新できる、いつもより短い分量の記事のことを、『短縮版』って?」
「さやかちゃんは飲み込みが早いわね」
「……」
「さすがは東大生」
「……余計なひとこと付け加えてる場合なの? 『短縮版』なんだから、手早く行かなきゃ、なんでしょうに」
「そのとおりね。1000字未満で収めるのが理想ね」
「1000字未満、か……。たしかに、普通は、1500字程度かそれ以上の記事になってるもんね」
「むかしは、もっと文字数の多い時期もあったけれど」
「そうだっけ」
「そうよ」
「……まぁ、連日連日4000字の記事上げます、っていうのも、ある意味で異常なのかもねえ」
「365日が4000字の記事なんて、人間業じゃないと『わたしは』思うわ」
「……なんで『わたしは』を強調したの」
「さやかちゃん――」
「……ん? なに」
「『星のカービィ ディスカバリー』を、攻略するんじゃなかったの??」
「と……唐突だね、アカ子も」
「だって、さっきまで、あんなにSwitchに熱中してたじゃないの」
「たしかに」
「わたしは、さやかちゃんの動かすカービィが、もっと見たいわ」
「そ…そう」
「次に作るぬいぐるみは、カービィで決まりね」
「マジで」
「マジよ」
「……」
「ワドルディのぬいぐるみも作っちゃう勢い」
「……すごいな、アカ子は」
× × ×
「アカ子。あんた、愛と連絡してる?」
「連休に入ってからは、あまり」
「実は、わたしもあんまり、なんだ。…ホラ、愛、連休中はお邸(やしき)に『帰省』してるんでしょ?」
「…アツマさんと仲睦まじく過ごしてほしいわよね」
「そーそー。せっかくアツマさんと一緒なんだから…だから、水を差すのも悪いと思って」
「それで、わたしもさやかちゃんも、愛ちゃんへの連絡を手控えてる」
「ズバリ」
「――きょうは土曜日だから、デートしてるのかも。ますます、邪魔しちゃいけないって思っちゃうわ」
「だよね~~」
× × ×
「――アカ子は、どうなの??」
「え、い、いきなり、なんなの…さやかちゃん」
「ハルくんをほっぽり出して、わたしんちに来てるじゃん、いま」
「ほ…ほっぽり出す、っていうのは、語弊が」
「もっと、ハルくんとイチャつきたくないの??」
「……」
「わたしに向かって照れなくたって――」
「さやかちゃん!」
「うわぁ」
「短縮、短縮、」
「――しょーがないんだから」