「きのう、あすかの同級生が来てたみたいじゃねーか。徳山さんって子だっけ?」
「そうよ。――わたしより背が高くて、わたしよりスタイルのいい子だった」
「――そうでございますか」
「アツマくん」
「徳山さん云々よりも……きょうは短縮版で行くの」
「定期的に短縮版になるな」
「そうね。
――文字数限られてるから、悠長なことはしてられない。
とくにきょうは、管理人さんから『お知らせ』を頼まれてるし――」
「お知らせ、って?」
「あのね。
あしたから4日間、久々にブログの更新を休みます」
「……ほぉ」
「10日から13日まで。木曜から日曜の4日間ね」
「…でも、なんで? 理由は?」
「ふふーん」
「いや、ふふーん、じゃわかんねえよ」
「ふふふふん♫」
「もったいぶらせやがって…」
「――ひとことで言えば。
ひとことで言えば、取材よ」
「取材??」
「カンが悪いわねアツマくん。漫画雑誌で、『取材により休載します』って文言が、よく巻末に書かれてたりするでしょ?」
「……管理人取材のため4日間休載、ってか」
「そーゆーこと、そーゆーこと」
「あやしいぞ」
「あやしいって、なによ」
「ほんとに取材、すんのかよ?」
「するわよ!!」
「――なぜおまえがムキになってるんだ」
「ほんとうに取材なんだから。ウソじゃないから」
「取材の、中身は?」
「……ほら。取材にも、いろんなヴァリエーションがあるでしょう?? 家に引きこもって本を読むのだって、立派な取材でしょ」
「……ウソくせぇ」
「こんどはウソじゃないですから」
「こんどってなんだよ、こんどって。
……桜木花道みたいなセリフ、吐きやがって」
「そうね、スラムダンクの山王戦っぽいわね」
「おまえ……スラムダンク、読んだんか」
「全巻読んだわ。地下書庫にも、全巻揃ってたし」
「スミにおけんなあ」
「アツマくんって、」
「??」
「ほーんのちょっとだけ、丸刈りにする前の桜木花道っぽいのよね」
「――生まれて初めて言われた」
「身長は花道のほうが高いけど」
「あたりまえだ」
「でも、雰囲気というかなんというか」
「おまえ……花道推しか?」
「推しってなに」
「だから……花道と流川だったら、花道のほうがお気に入りなのか、ってこと」
「そうなのよ。どうしてわかるの? 流川くんもカッコいいけど、花道のほうが好き」
「……花道と、三井とだったら?」
「それはどの時点での三井くん?」
「更生したあとの」
「んー。
三井くんも、捨てがたいんだけど……むしろ、メガネ君のほうが」
「こ、木暮も好きなんかよ」
「好感度高いでしょ? 彼は」
「愛、おまえの美意識はイマイチわからん」
「むりやり美意識ってワードを持ち出したわね」
「…悪いかよ」
「あなたのスラムダンクの推しは?」
「…やっぱり、仙道だろ」
「あー、言うと思ったー♫」
「…そんなに日頃から『仙道推し』な空気、醸し出してるか?? おれ」