「工藤くん!!」
「……八木さんか。
透き通ってて、よく通る。
いい声だ。」
「工藤くんの声のほうが100万倍いいよ」
「そうやってじぶんを卑下(ひげ)してばっかしいると、もう1年浪人しちゃうよ」
「わっわたし卑下なんかしてないから、
ないから、、
それより!!」
工藤くんの手のひらに、
ハンカチを置いた、
1枚だけじゃない。
「洗って返すって約束したでしょ。
ごめん遅れて」
「や、いつでもいいんだけど……
なんで、2枚?」
「工藤くんニブチンねえ、ニブチンなんだから…ほんとに」
「八木さん、言葉づかいがダサいよw」
「(小さく息を吸い込んで)
ーーおまもり。
お・ま・も・り」
「合格祈願?」
「そう。
もう1枚は、わたしからあなたへの、おまもり」
「……ありがとう。」
「どうも。
絶対いい点取ってね。
日和(ひよ)って、『やっぱ京都行きません』なんて言わせないよ」
「ーー八木さんは、きっといい点取るよ」
「なんでそう思うの」
「覚悟が、決まってる顔だから」
たしかに、工藤くんの言う通り、
わたしは心を決めていた。
そして明日から、いよいよ、
2度めのセンター試験。