伊吹先生ご夫妻のマンション
ダイニング
夕食(ごちそう)
伊吹先生が、
夕ごはんを作ってくれた。
しかも全部ひとりで。
手間がかかりそうなものばかりを、
手ぎわよく。
わたし「おいしい……!!」
伊吹先生「でしょ♫ でしょ♫」
ダンナさん「よかったねえ。
ほめてもらえて」
わたし「どうしてこんなにおいしく作れるんですか……」
伊吹先生「料理には自信あるって言ったじゃないw」
わたし「……自信あったんだけどな、わたしも」
ダンナさん「羽田さんも料理するの?」
わたし「はい、朝ごはんはほとんど毎日……夕ごはんは当番制で……ウチはちょっと特殊なんですけど、わたしが担当することが多いです」
伊吹先生「愛妻弁当も作るんだよねー☆」
ダンナさん「!?」
わたし「せんせえっ」
わたし「(気を取り直して)ーー明日の朝ごはんは、わたしが作りたいかなー、って」
伊吹先生「いいよ、羽田さん寝てなよ。
朝ごはんもおいしいの作ったげるから」
わたし「手伝うぐらいします」
伊吹先生「ダメッ、あたしに甘えるのっ、こんな時ぐらい」
わたし「ーーそうですね。
こんなにおいしい料理作ってもらったら、なんだか甘えたくなってきちゃいました」
× × ×
・ソファでぼーっとしていた
伊吹先生「(ぼさぁっ、とわたしの隣に座って)
羽田さんいっしょにTVみよーよー」
わたし「……しょうがないですね」
(わたしを自分のほうに抱き寄せる伊吹先生)
わたし「……ほんとーにしょーがないですねぇ。
すぐスキンシップ、なんだから」
伊吹先生「……どう?
不安、とれた?」
わたし「ーー先のこと、ですか?
忘れましたw」
伊吹先生「そうでなくっちゃ」
× × ×
先生が『好きに使っていい』と言ってくれたソファで、その夜は寝た。
× × ×
♫チュン、チュン♫
「むにゃ」
(眼をこすりながらソファから起き上がる)
伊吹先生「おそよう」
わたし「おそようございます」
伊吹先生「朝ごはんできたから起こした」
わたし「あのっ先生」
伊吹先生「どしたー?」
わたし「午前中で帰るつもりだったんですけどーー、もう少しだけ、ここにいる時間、伸ばしてもいいですか?」
伊吹先生「もちろん!」
わたし「ありがとうございます」
もう少しだけーー、
伊吹先生と、『家族』でいたかったから、
ワガママなわたしは、そうおねだりしたのだった。