こんにちは! アカ子です。
きょうは7月7日。
と、いうことは……、
七夕ですね!
(;^ω^)……。
七夕だからって、
何かが起こるわけでもなし。
× × ×
お昼ごはんを食べたら、圧倒的に何もする気にならなくなったので、自分の部屋のベッドでゴロゴロゴロゴロしていた。
すると、都合の悪いことに、住み込みメイドの蜜柑が、洗濯物を部屋まで運んできたのだった。
「だらしないですねえおじょうさま」
「ほんとうにそうね」
「自分で認めないでください」
「その洗濯物はじぶんでなんとかするから。
はやく出てって💢」
(スッ…とスマホを取り出す蜜柑)
「な、なにやろうとしてるの蜜柑!?」
「あなたが社長令嬢らしからぬダラけた姿でいるのがいけないんですよ」
「もしかして盗撮!?!? バカじゃないの!?!?」
「いっしょに暮らしてるのに盗撮もなにもないじゃーありませんか」
蜜柑が本気でヘンタイに見えたので、枕を放り投げて蜜柑のスマホを破壊しようとした。
「こわ~いw」
「身支度するから出てって💢💢」
「なんのための身支度ですか」
「階下(した)に……降りるための」
「wwwww」
「こんなに服がヨレヨレだと、お父さんと顔合わせるの、恥ずかしいもの」
「あーwww」
「あー、じゃない💢💢💢」
「てっきりわたしは公園に行くものかと思いましたよ」
「……」
「そこでなんで押し黙るんですw」
「きょうは天気悪いし」
「でもアカ子さん、あなた、いくら天気が悪くても、ハルくんが公園に来るんだったら、行くんでしょう?」
「こ、こないわよ、きょうはたぶん!!! いくら遭遇率が高いからって、こんな天気じゃ」
「ふーん(流し目)」
「なによ」
「お嬢さま」
「だからなによ」
「おヘソが見えてますよ」
まるで反抗期だったころのように怒りを大爆発させたわたしは、
『蜜柑 1週間 出禁!!』
という「お触れ」の紙を、部屋のドアの表に貼ったのだった…。
100分後
念入りに念入りに身支度をすませたわたしは階下(した)に降りた。
ピアノでも弾いて、モヤモヤとした気分を発散させようかしら、と思った。
だけど、ピアノのある広間のソファーで、お父さんが雑誌を読んでいたので、弾くのをためらった。
「…お父さん」
「おう、元気かぁ、アカ子」
「…『ホリデーオート』が休刊になるのが残念なのはわかるけど、」
「ほんとうに残念だなあ、物心ついたときから読んできたからなぁ」
「…会社は?」
「やすみ」
「…仕事は?」
「おやすみ」
「(・_・;)……」
テレビをつけた。
すると不都合にも、お父さんの会社のコマーシャルが眼に飛び込んできた。
現実感、というものが、根底からぐらぐら揺らいでいく……。
「ところで」
「(苛立ちを隠せず)なぁにおとうさん」
「『自転車くん』はどうした」
「『自転車くん』??????」
「ほら、蜜柑とぶつかって故障(こわ)れた自転車を修理してやったことがあったじゃんか。
彼だよ、彼」
bakhtin19880823.hatenadiary.jp
↑参考VTR
「あ、あ、あのねおとうさん、『自転車くん』には『ハルくん』っていう立派な名前があるのよ」
「おー、ハルくんっていうのかあ~!!w」
しくじった。
お父さんがハルくんのことを認知していく…!
「どうした? 風邪でもひいたか」
「ひいてませんっ」
「顔真っ赤だぞ」
「ひいてませんってば!!」
「アカ子や」
「なんですかお父さんっ」
「お金あげるからさ、美味しいものでも食べてきなさい」
「ちょっと意味がわかりかねるのですが、おとうさま」
「ふたり分あげるからさ」
「(ドドドドドドドドッキンドッキン)」
「蜜柑には内緒だゾ」