【愛の◯◯】お姫さまのしくじり

あたしルミナ。

女子大生!!

 

……それはさておき、行きつけの児童文化センターに、ふらふらと足を運ぶのだった。

子どもだいすき。

 

「あ、ルミ姉(ねえ)だ!」

「(。・∀・。)いい子してたかな~?」

「ルミ姉、ちこくだちこく~

「(。・∀・。)?」

 

「アイねーちゃんがきてるよ」

「Σ(・∀・;)愛ちゃんが、さきに!?」

「そーだよ、ルミ姉(ねえ)おっせえんだよくるのが。

 ちこくちこく~

 

愛ちゃん。

羽田愛ちゃん。

ギンのサークルに入った戸部アツマくんの邸(いえ)に居候してる、とっても美人な名門女子校高等部に通う女の子。

あたしより読み聞かせがうまくて、エレクトーンも弾ける。

ただ、将棋とか囲碁とか、ボードゲームはてんでダメらしいw

もうひとつ弱点があって、

それは、

愛ちゃんが戸部くんと、

恋人同士、であるということ。

(*ノ∀`*)キャ-ッ 

 

(・へ・)コラッ! ルミナさん、『ちこく』じゃないでしょ?

 ルミナさんからかったらだめじゃない。

 あやまんなさい」

「(*ノ∀`;)い、いいのいいの愛ちゃん」

ご、ごめんね、ルミ姉

「(*ノ∀`;)」

「(^へ^)はい、よくできましたっ」

 

完全に愛ちゃんのペースだぁ。 

 

『アイねーちゃん、えほんよんで~?』

 

Σ(^∀^;)

 

『……アイねーちゃん?』

 

ど、どうしたのかな、愛ちゃん。

 

「(^_^;)……はい、読むわよ、よーくききなさいよ」

 

・愛ちゃんの周りに小さな子が集まる

 

「ルミ姉」

「なに?」

アイねーちゃんって、”おじょうさま”みたいな話しかたするときあると思わない?

「ど、どゆこと」

「ほら、さっきも『読む”わよ”』とか『よーくきき”なさいよ”』とか」

「……、

 ほんとうにお嬢さまなのかもね」

「しゃちょーのむすめとか!?」

「……いや。

 あたしが思うに、お嬢さまというよりは、『お姫さま』みたい」

「たしかに。ルミ姉よりきれいだしな」

「ひとこと多い💢」

 

でも、ほんとキレイ。

少女漫画の中から出てきたみたい。

髪の色もキレイ。

髪、あたしよりだいぶ長いけど。

案外、校則ゆるいのかしら?

 

でもーー、

きょうはイマイチ、元気がないような。

 

読み聞かせが始まった

 

 

「ーーおしまい。

 (パッタン、と本を閉じる)」

 

~静寂~

 

「(-_-;)ご、ごめんねみんな……、

 ところどころつっかえちゃって」

 

『アイねーちゃん、だいじょうぶ?』

『アイねーちゃんじゃないみたい』

『アイねーちゃんがうまくよめないなんて』

『げんきだして、アイねーちゃん!』

『そうだよ、おなかがすいてげんきがでないんじゃないの?』

『げんきがたりないんだよ!!』

『そうそうげんきだしていこうよ!!』

『アイねーちゃん、ファイト!!』

 

「(^_^;)しんぱいしてくれてありがとう……、

 (-_-;)……。」

 

絵本と子どもを置き去りにして、

センターから脱走する愛ちゃん。

 

( •̀ㅁ•́;)……追いかけなきゃ!! 

 

× × ×

 

「だめだよっ、子どもから眼を離しちゃー」

「(-_-;;)すみません……」

 

アイス缶コーヒーを、

愛ちゃんのほっぺに当てるイタズラ。

 

「(゜o゜; ひゃっ!

「はい、あたしのおごり。

 それ飲んで落ち着いたら、子どもたちんとこ戻ろうね」

 

× × ×

 

「最近、本を読むとすぐ疲れるから、あまり読めないんです。

 さっきあんなに噛んじゃったのは、たぶんその影響で」

「関係あるのかなあ?」

「(意地を張るみたいに)ありますよ!

「わーったわーった」

「本読み以外はピンピンしてるんです!」

「ピンピンってw」

きょうも水泳の授業で校内新記録更新したんですからっ!!

( ;゚д゚)ェ..........................

「だから! 体調そのものは、ぜんぜん良いんです」

 

「愛ちゃん」

「なんですか」

「戸部くんといっしょにプール行ったことは」

「そ、そういえば、べつべつに泳いでますねえ!!」

 

 

 

「あのですね、アツマくんとふつうにプールで泳いでも、たぶんつまらないですよ」

「どして?」

ぜんぶの泳ぎでアツマくんに負けちゃうもん

(゜o゜; と、戸部くんって、そんなアスリートだったの……

「(微笑んで)はい。

 わたしがいちばん尊敬する、アスリートですからw