戸部邸
ダイニング
わたし羽田愛。
ピチピチの16歳。
珍しいことに、
アツマくんとふたりきりで、
夕飯を食べることになった。
『いっただっきまーす』
× × ×
「ねえアツマくん、もうちょっとゆっくり食べてよ」
「あ、わりい」
「なんかやけに素直……」
「そうか?」
『せっかくふたりきりなんだから』
そう言おうとして、
思いとどまったわたし。
きのうの、アツマくんのLINEの、
『大好きだよ』と、
『あっかんべー』スタンプが、
うれしくて。
「なあ」
「?」
「おまえーー、
きょう学校で、イヤなことでもあったのか?」
「どどどうしてわかるのっ!?」
「晩飯の味がいつもと違うから」
「どうして味が違うことまでわかるの!? わたし自分が作ったのに気が付かなかったよ!?」
たしかに、
言われてみれば、
味付けをミスったかもしれない。
『うわの空』で料理してたんだろうか。
「らしくねーなー」
「そんなことだってあるでしょ、女の子なんだし」
「(戸惑いの表情)」
「そ、そんなことだってあるでしょ、人間誰しも」
「しょくじちゅーだぞー」
「余計なお世話よ。
あのね、
学校で、イヤなことってのは、具体的にはねーー」
「ふーん。
よく言えました。パチパチパチ」
「もっとオトナ扱いしてよ。
それで……どうすればいいと思う?
アツマくん。」
「(。・ω・)うむ。
そういうときはだな、
いまからおれが言う通りにすればいいんだ」
「……なるほど。
でもアツマくん、どうしてそんなに機転が利くのーーって」
「ひょいぱく」
「ヽ(`Д´)ノこらっ!
わたしのオカズ、パクるなっ」