わたしの家族が戸部邸に来て2日目。
広間でわたしが本を読んでいると、お母さんがやってきて、こう言った。
「日本で日本の料理が食べたいから手伝って」
台所
「あなたずいぶん髪が長くなったわね」
「…ダメ?」
「先生にダメって言われてないのならいいんじゃないの?」
「…言われてない。」
「お母さん、『どうして』髪、伸ばしたのかって、訊かないのね」
「訊く気なかったもん」
「あ、そうですか…」
× × ×
「ーー安部公房?」
「!? わたしが読んでた本のこと?
いきなりビックリした」
「ずいぶん古典趣味ね」
「は!?」
「とっくに死んでるじゃない、安部公房」
「安部公房は古典じゃないわ」
「あなた、21世紀生まれじゃんw」
昼食の席
戸部邸住まいの5人と、
わたしの両親と利比古、
計8名の豪勢な昼ごはんになった。
お母さん「どうかしら、あすかちゃん? そのお吸い物」
あすかちゃん(ポケーッ)
アツマくん「おいコラあすか」
わたし「『こんな美味しいお吸い物飲んだことない』って反応してるのよ、お母さん」
お母さん「あら〜」
わたし「味噌汁だけじゃなくてお吸い物もよく作るんだけど、何年経ってもお母さんのお吸い物にはかなわないなぁw」
あすかちゃん「で、でも、おねーさんとおばさんが、いっしょにこのお料理を作ったんですよね!?」
わたし「ちがうよ、わたしは手伝っただけ。」
おとうさん「こら、母さん、愛がさみしそうにしてるじゃないかw」
おとうさん💜❤💙💚
明日美子さん「守くん(←おとうさんの名前)、お酒はよかったの?」
おとうさん「まだ昼間だし」
流さん「あ、ぼく晩酌お供します」
おとうさん「こんなに大型連休なんだし、デートの予定もあるだろうに」
流さん「ははは…w ゆったりしてるんですw」
あすかちゃん「利比古くん、背、高くなったねえ〜」
利比古「あすかさんは変わらないですね」
わたし「こ、コラ、利比古!」
あすかちゃん「そ、そんなことないよ!? 大人っぽくなったでしょ、わたし!? 高校生になったし!?
具体的にどう大人になったかは、言わないでおくけど!?」
利比古はたちまち赤面してしまった。
アツマくん「(小声で)お、おい、利比古って本音が口に出るタイプだったか」
わたし「(小声で)わからない、あすかちゃんの前だとそうなるのかもしれない」
あすかちゃん「と、利比古くんは好きなスポーツあるかな!?
サッカーとか好きじゃない!?
日本のJリーグもマニアックで面白いよ!?」
利比古「あ、ぼくプレミアリーグとブンデスリーガとリーガ・エスパニョーラ観たことあります」
あすかちゃん「よ、ヨーロッパってテレビのチャンネル意外に多いんだね」
利比古「いえ、スタジアムでーー」
あすかちゃん「( ゚д゚)ポカーン」
わたし「ほ、ほら、あすかちゃんも利比古も、煮物が冷めちゃうよ?」
アツマくん「(ボヤくように)めんどくさいことになりそうだな」
わたし「あんたももう少しがんばってよ💢」