【愛の◯◯】カシオペアから遠く離れて

「晩ごはんいらないってことは、このタコ焼きもいらないわね」
「いい匂いだなあ」
「😡はいかいいえで答えなさい」

 

「(ぱくぱくぱく)」
「ーーあすかは?」
「んー、なんか知らないけど、部屋に引っ込んじゃった」
「タコ焼きに食いつかないのな。ダイエットかあ?」
「バカ! デリカシーなさすぎ」

 

「あれ、あすかちゃんからLINE来た。なになに、『お兄ちゃんのペットボトル間違えて飲んじゃった😫』」
「それぐらいで部屋に引っ込むのかよ!!」
「バカ!デリカシーなさすぎ」

 

「『あんま気にすんなよ』ほれ」
「なんだかんだで気配りはうまいよね」
「アフターケアな」
「(-_-;)」

 

「それで、どういう流れで音楽サークルの先輩とラーメン食べたのよ」
「それはな…」

 

(回想)

 

『科目登録ってややこしいんだなあ』

 

がやがやがや


『サークルのブースがいっぱい…
チャラいのは嫌だなー🤔』

 

× × ×

『ふーん、この建物でも新入生勧誘やってるのか。
 音楽が聴こえてくる。

 CD、流してるのか?』

 

ちょっと! もう少し音量絞ってよ💢』
『おーわりぃわりぃ』
真面目に聞いてる!? あたしの話、真面目に聞いてる!? ねえ
『聞いてないわけないだろー。何年同じ学校に通ってると思ってんだ』
『もうすぐ20年…一刻も早く社会に出たいったらありゃしない』
『そりゃどーも。
 でもーー、
 おまえがブラック企業で死んだ目になって働いてるのを見るのは嫌だなあ


(何も言い返せないのか)……

 

『なに固まってんの?』
『ギン、あんたどうしてそこまで音楽にこだわるの? 高校のとき、突然音楽ばっか聴くようになり出してーー、』
『悪い、お客さんだ』
ギン!!

 

× × ×

『悪い悪い、ルミナがしつこくってさ』
『ルミナさんって、いま出ていった女の人ですよね、音が大きいとか怒ってた…』
『ああ、幼稚園からの腐れ縁なんだ。この大学までエスカレーター式でさ』

 

『気に入ったかい?その看板イラスト』
『はい。ビンの色が気に入って』
『それはハッカのジャムなんだよ』
『へえぇ』
『もっとも、元あるアルバムジャケットをパクっただけなんだけどさ』
『ミント、ジャム、ス?』

 

 

MINT JAMS

MINT JAMS

 

 


『そう、MINT JAMS(ミント・ジャムス)カシオペアっていうバンドのアルバム名で、ウチのサークル名もそれが由来なんだけど、まあ同じ名前のサークルは全国津々浦々に存在するだろうね』
『そうなんですか……』

 

フュージョンって言ってね、すーーっごく雑に説明すると、ジャズとロックを合わせたような音楽』
『でもいま流れてるのって、明らかにラテン系の曲ですよねw』
『そ!w 月日を経ていつの間にかカシオペアから遠く離れて、総合音楽サークルみたいになってw といっても演奏しないけどね。ただひたすら聴くだけ』

 

『あ、鳴海さんだ』

 

『はじめまして新入生くん。ほー、きみ、ガタイいいね、なかなか。
 スポーツとかやってた?』
『ひと通り…』
『ひと通り! なーるほど! きみは水泳に興味ないか?
『鳴海さん! 音楽サークルのブースで唐突すぎるでしょ』
『えーと、おれ、プール行くのが日課で』
『(目を輝かせて)マジで!? ほら、座って音楽聴いてるだけだと不健康だしなんだか物足りないじゃん!? だからサークルの有志で近くのプールで泳いでそのあとで大学の勉強の情報交換したりするんだ、どうだい有意義だろう!!

 

 

「ーーで、そのあと、3人でプール行った
「(゜o゜; え!? 泳いだの、そのひと達と!?」
「ああ。水着貸してもらって。そのあとでラーメン食べた。
 美味しかったな~♪」

 

 

アツマくんが入ろうとしてる(?)サークル……、

謎!