さむい……。
もともと寒さに弱いうえに、メンタルヘルスさんが発動したのかどうか、頭がガンガン痛い。
寝たきりの12月30日。
我が家っていいな。
どうして、
「高校卒業したら、自分で稼がなきゃダメだと思う〜」とか、血迷ったこと考えてたんだろう。
♪軍艦マーチ(着メロ)♪
「……( ^_^ ;)八木?」
「八木どしたー? こんどはお父さんとでもケンカかー? 平成最後の反抗期到来ですか──、」
「ばーか葉山」
「意外に元気そうねw」
「そんなんじゃないの。葉山、寒がりだったでしょう?
部屋のベッドで凍えてんじゃないの」
「凍えてはいないけど……」
弱音吐いちゃう──
「八木、わたしあたまいたい……」
「そう言うと思って」
「いま、あんたの家に刻一刻と近づいてる。
あっためてあげる💛」
( ^_^ ;)…先日の膝枕といい、とみにアグレッシブね、最近の八木は。
『八重子ちゃん! いらっしゃーい♪
あら今日の八重子ちゃん、すごくオシャレ……』
『あの娘、案の定、部屋で臥せっていてw』
『案の定』が余計だけど、頭の痛みと寒波で、おかあさんにツッこむ気力も起きない。
「まー、八木、ほんとに気合い入ったファッションねえ。
彼氏でも出来たぁ?」
「あんたをベッドから引きずり出してやろうか💢 寝たきりスズメはかえって精神衛生上──」
「ごめん、しんどくて、でられない」
ごめんね……
『ふわっ』
ひゃあっ!
八木がいきなり夜這いかけてきた──!?
「……暖かくなってきた?」
「(・_・;)わからない、頭が働かない」
「じゃーなおさらわたしが葉山をあっためてあげないとね」
「……ヘンタイ。」
「八木の……心臓の音が聴こえる。とっくんとっくん、って」
「耳があったまってきたんじゃない?」
「ちょうどいいね」
「なにが?」
「八木の身体のコンパクトさ。とくに胸。わたしとどっこいどっこいだから、密着しても熱くない」
「言うと思ったw」
怒らないのね、八木。
「ねえ葉山……あと30分経ったら、年越しうどん作るから」
「はいぃ!?」
「キッチン借りていいって。事前におばさんの許可もとってるし。
何も食べてないでしょ今日。なんか口に入れなさいよ」
「あんた、年越しうどんとか、もしかして大学受験の現実逃避したがってない?」
「バレたかw」
「やぎっ!!」
「怒った怒った。葉山があったまってきた証拠だ」
八木……、
いまボヤボヤ休んでたら、すぐにセンター試験。
だけど……。
「八木」
「うん」
「大晦日、一緒に過ごす人とか、いないんなら」
「いないよ」
「貧乳同盟」
「Σ( ˙꒳˙ ;)」