夕方
キッチンからいい香りが漂ってきた
おれ「こりゃあ煮物だな」
・・・・・・
おれ「あー、きょうの夕飯当番は愛だったな、どうりでーー、
って、(; ゚д゚)
ちょ、ちょっと待て、愛!!」
愛「なに? アツマくん。
もうすぐ全部できちゃうよ」
おれ「(;´Д`)作り過ぎだぞ!!」
愛「へ? なにを」
おれ「煮物を!!」
愛「(心外そうに)どこが。
(鍋をのぞき込み)ーー、
あ!!!!!!!」
・・・・・・
(´・_・`)ショボ-ン、と、うつむき気味にテーブルに座る愛。
おびただしい量の煮物が、おれと流さんの目の前にそびえ立っている。
おれ「母さんは飲み会。
あすかは、さやかさんによる、高校入試対策の個人レッスンを受けに行ってる。
つまり、きょうの晩飯はもとから3人の予定だった。
ーーはずなのに、おまえはなぜか6人分ぐらいの煮物を作ってしまった……。
まず、6人分も、具材を、どこから調達したというのか」
愛「(´・_・`)説教タイム?!
煮物が冷めちゃうよ。
(;´・_・`)冷めちゃってもいいのね」
流さん「いただきます。
・・・・・・アツマ、冷めちゃうぞ。
夜中になってお腹が空いても知らんぞよw」
愛「そうよ。買い置き、カップ焼きそばぐらいしかなかった気が」
慌てるおれ「ふ、ふん、コンビニでなんとかなるだろどうせ」
愛「アホンダラ! コンビニに頼って不規則な生活してると、体調崩して、大学の受験会場にたどり着くことすらできなくなるわよ!?」
呆れるおれ「(-_-;)アホンダラって……」
流さん「そうだぞ、アツマ。ぼくも夜更かしの連続がたたって、滑り止めのはずだった大学の受験会場にたどり着くことすらできなかったことがーー」
怯えるおれ「( ;゚Д゚)ヒィッ!!
すす滑り止めは、受けておきたいんだな」
愛と流さん『じゃあ冷めないうちに夕ご飯を食べようね~』
サトイモ、うまい。
レンコン、うまい。
ニンジン、うまい。
コンニャク、うまい。
鶏肉、うまい。
そしてなんといっても、
量が、多すぎる。
愛「( ´д`)あーあ。
ついつい愛ちゃんの作ってる煮物が美味しそうで、作りすぎちゃった」
おれ「(゚.゚) ポカーン」
思わず箸から落ちるサトイモ。
おれ「(゚.゚;) おまえ……、
気は確か、だよな?」
愛「あ、ごめんごめん、紛らわしいよね。
『true tears』の3話で愛ちゃんが作ってた煮物が美味しそうだなあ~って思って」
おれ「(゜o゜;)愛が、愛が、アニメにインスパイアされてしまった、ついに!!!」
愛「(# ・∀・)ムカッ
わ・る・い!? アニメの影響受けるの悪い!?」
流さん「(^_^;)いや、そもそも、
愛ちゃんって誰だい」
愛「わたしですか?」
おれ「落ち着け!! 文脈を読め!!
『true tears』の愛ちゃんって誰だよ、っていう疑問に決まってるだろ!!」
愛「(# ゚Д゚)ムカーッ」
おれ「だから落ち着けって」
愛「(流さんに向かって満面の笑みで)
(^ワ^=)『true tears』の愛ちゃん、ってのは、安藤愛子ちゃんっていって、主人公の仲上眞一郎(なかがみしんいちろう)くんの幼なじみで、一つ年上だけど小柄だけどオッパイが大きい女の子です。」
流さん「(^_^;)ふむ…」
愛「彼女は、今川焼きのお店をーーたぶん、独りでやってるのかな。
眞一郎くんが通ってる踊りの稽古、伝統芸能みたいなものですね、その稽古があるって言うんで、五目いなり寿司だったりオニギリだったり煮物だったり、愛ちゃんが自分のお店で作るんですけど、三代吉(みよきち)くん、あ、三代吉くんは愛ちゃんと付き合っているんですが、三代吉くんも、
『めっちゃ旨そうじゃん!!』
って言ってる通り、そう、アニメのお料理なのに、ほんとに『めっちゃ旨そう』なんですよ、不思議じゃありません?
ね、不思議じゃない、アツマくん?」
おれ「(つとめて冷静に)映像を観ないとわからない。」
愛「ーーでも愛ちゃん、ほんとうは眞一郎くんのこと、密かに想っていて。でも眞一郎くん、優柔不断なところがあって、愛ちゃんの気持ちに気づいてあげないんです。
そりゃあ、不憫なのは三代吉くんですよ。愛ちゃんに裏切られてるようなものですからねえ。でも愛ちゃんより眞一郎くんのほうがヒドイんです。眞一郎くんのせいよ、三代吉くんも愛ちゃんもどっちもかわいそうなのは! しかも学校では石動乃絵(いするぎ のえ)とイチャイチャしてるし、じぶんの家では幼なじみ第2号の湯浅比呂美(ゆあさ ひろみ)となぜかひとつ屋根の下、しかもこの比呂美って娘が、またーー」
おれ「あの、羽田愛ちゃん。」
羽田愛ちゃん「なに」
おれ「true tearsって、ニコニコ動画で観ること出来る」
羽田愛ちゃん「(*'д'c彡☆))Д´)パーン」
※「dアニメストア ニコニコ支店」に加入していれば、観られます