回想
とある休日の朝──
兄が、実家に──
「むにゃむにゃ」
♪つけっぱなしのラジカセから流れてくるAM放送の宗教番組♪
「(ラジカセの電源を切り)ったく……せっかくの休みなんだから、信教の自由より睡眠の自由を保証してよ」
わたしの脇腹のあたりには、フォイエルバッハの古本。少なからず宗教関係ある。
これ読みながら眠りに落ちたようだ。
「……個人的には、読みながら寝落ちできる哲学者は、よい哲学者だけどさっ」
「フォイエルバッハじゃなくてバッハの曲でも流すか」
「ラジカセの近くにたしかCDが──」
なかった(-_-;)
秋が深まり、ベッドがぬくぬくして寝心地が良くなったのはいいんだが、なかなか寝床から抜け出せないのは、不健康だと思う。
なので「さて、と…」と起床しかけるわたしに、母のこんな呼び声が突き刺さってきた。
「さやか~お兄ちゃん帰ってきたw」
に、兄さん──、
家にあがるの、早すぎるよ!!
『ガチャ』
『すたすたすた』
「兄さん(;▽;)
おかえり〜っ」
「え、えらく感動してるね、さやか。
眼がうるんでないか」
「(;▽;)全然」
「ε- (´ー` ) ……ふふ。
とりあえず、さやかは──、
ハンカチで眼を拭いて、
パジャマのズボン履こう」
「( ꒪⌓꒪)」
がーーーーーーーーーーーーーーーーん
とぽとぽと自分の部屋に帰り、姿見で全身を見た。
きょう着てたパジャマは丈が長めの上着だったから……、
み、み、みえてないよね、たぶん、
♪コンコンコンコン♪
「さやかー、洗濯物」
(虚脱感に包まれベッドに着席し小さくなっている放心状態3歩手前のわたしにトドメをさすみたく)「はずかしかったね~!
毛糸はww」
わたしはありったけの知人にあたまの中で助けを求めた。