はい、アカ子です。
公園に行ったんです。
そしたら──(・_・;)
昼下がりの公園
ひとりで、とある公園に来た。
さて、カバンに三冊入れてきた本を、順繰りに読んでいこうかしら。
ぽかぽかしていい陽気。
十二月とは思えない。
まるで、ハル……
!!
ど、どーゆーこと、わたし!?
「春」という季節を表すことばが、
『ハルくん』と、ダブルミーニングになってる。
いくら前の土曜日、ハルくんのサッカー観て、喫茶店に愛ちゃんとマオさんと3人がかりでハルくんを連れ込んで、
そ、それで、ハルくんとまた「ぎくしゃく」したからって。
あのとき、愛ちゃん、
『ハルくんに対して素直になれないよね』
って言ってて、
それは愛ちゃんの冗談ではあったんだけど、
あれから、
次第にわたしの中では、冗談ではなくなってきちゃって。
どういうことかっていうと、
わたし、ハルくんと2回会って、
2回とも攻撃的な態度をハルくんに示してしまって!
でも……それは、わたしが、
同年代の男の子にうまく接せない、
換言すれば、
うまく同年代の、ハルくんみたいな男の子に、感情を、うまく表現できない……!
そもそも。
同い年の男の子とか、
知り合い、いま、ハルくんしかいなくて、
いや、もともと、男の子と接する機会はあまり、なかった。
アツマさんは、ふたつ年上だし。
わたしはアツマさんを、尊敬してる──っていうと、語弊あるかも知れないけれど、実際、とても頼もしいお兄さんだと思ってるし、何より、愛ちゃんのいちばん深い理解者だから。
アツマさんとハルくんは、ちょっと違う存在──。
『ぶんぶんぶん』
思わずベンチで本を抱えながらあたまをブンブン振ってしまった。
あたりに誰もいなくてよかった。
ハルくんに出くわさなきゃいいけど……、
まさか、こんなところで。
うう……読書に集中不可能。
(ちょっと、ブラブラ並木道を歩いてみようかしら)
お散歩開始
『ドドドドド……』
<ボガァッ
<どさっ
なに……?!
今日の運勢、最悪なのもしかして……?
横からダッシュで走ってきたひとと衝突した。
相手のほうがぶつかる直前に慌てて減速してたので、ケガはなかった。
ただ、ロングスカートの裾が少なからず汚れてしまったけど。
こういう時、無闇に怒らないのがわたしの性格なので。
なのでまずぶつかってきた相手のほうを気遣おうとして、顔を見たら、
「は、ハルくん……!?」
ハルくん「(唖然呆然)」
いや、こっちのほうが、唖然呆然よ、ハルくん。
まさか、こんなところで、どういう確率なのよこれ、
ばったり出くわすどころか、
お互いにぶつかり合った。
ハルくん「あ、あわわわわわわ」
ハルくん「Σ(´□`;)ハッ!!」
ハルくん「だ、大丈夫か!?」
わたし「( ㅍ_ㅍ )うん。
大丈夫だったし、ある意味大丈夫じゃないわ」
ハルくん「ある意味って……、
あ、あっ、アカ子さん、スカートが汚れちゃった」
わたし「( ㅍ_ㅍ )いいわよ別に。
もう帰るから。
( ´- ̯-`)ふんっ」
ハルくん「本が飛び出ちゃってるよ。
(焦ってる?)拾わなきゃ拾わなきゃ……」
ハルくんが三冊の本を拾ってわたしに持ってきてくれた。
厄介なことになっちゃったかも。
わたし、3回目に会ったきょうも、ハルくんにつっけんどんな態度をとってしまって……、
(・_・;)
ハルくん「──なんだか難しい本を読むみたいだね。さすが名門、」
わたし「ο(`^´*)フンッ!!
名門とか関係なくない?!
ま、あなたには一生縁がない本かもしれないけどね」
しまった。
言い過ぎよ、わたしったら。
(;´Д`)どうして……?
なんでハルくんを、いなすように突っぱねてんのよ、
わたしは!!
ハルくん「そ、そんなことないかもしれないだろぉ、一生、なんて」
わたし「(・_・;)」
ハルくん「とりあえず、あそこにベンチがあるから……バッグの中とかもぐじゃぐじゃになってるんじゃ」
わたし「バッグを見る気じゃあ……い、いやそんなわけないよねいろいろごめん」
ハルくん「(至って冷静に)アカ子さん、とりあえず落ち着こう」
もといたベンチにわたしは座り、ハルくんは芝生に腰を下ろした。
遠慮気味な距離感……。
うーん(;´・ ・)
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ハルくん「感情教育、って、どんな本なの」
わたし「どんな本って、小説に決まってるでしょ!
……あ、ごめん。文学サークル的な目線で言っちゃった……えっと」
ハルくん「へー、面白い名前の小説だねぇ!」
わたし「('﹏*; )ウッ…」
ハルくん「これ、『新書』ってやつだよね、本屋さんに『新書コーナー』ってのがあるの、よく見るよ。」
わたし「これは『岩波新書』っていうの。置いてある書店が限られるのよ、新書もピン切りなの。
大学受験で現代文で高得点取りたいなら、岩波新書を何冊か読み通していた方がいいわよ。」
ハルくん「でも、ぼくらが大学受けるのは二年以上先の話じゃないか」
うぅ……。
意識の断層。
ハルくん「えーっと、最後のは、いしかわあつし?」
わたし「ちがーう!」
ハルくん「ビクっ」
ハルくん「へーっ、『ふげん(普賢)』って読むんだね、この漢字」
わたし「漢字の読み問題で、大学入試で出るかもねー」
ハルくん「受験や入試だ、って、そんなにきみの学校はガリ勉系なのかい」
わたし「(つれなく言ってやろうとして)ぜんぜん。」
ハルくん「じゃあなんでそういうことばっかり。
愛さんとは違うんだな」
わたし「愛ちゃんのほうが余裕があった、と💢」
ハルくん「そんなこと言ってないだろ」
わたし「実際上言ってるわよ!」
ハルくん「(うなだれ)……」
わたし「(不意に湧いてきた理不尽なイライラを鎮めようと)…………」
わたし「それじゃわたしかえるねごきげんよう」
ハルくん「フフっw」
わたし「何笑ってんのよ」
ハルくん「ほんとうにごきげんようっていう女の子、初めてだから」
あー、もう!!
お・て・あ・げ!
わたし『すたすたすた』
振り返らず、公園の出口に向かい歩いた。
公園の出口に来て、どうしたものか、ハルくんが気になるのか、わたしは後ろに振り向いた。
遠くに、ランニングするハルくんの姿が、一瞬垣間見えて、
『ほんとうに走るの好きなんだな』
と、わたしは思った。