『キョウくんに会いたいのが嘘ならばキョウくんに会いたいというのは本当の気持ちなのだ』
葉山先輩「ねぇ、これって、いわゆる、
『トートロジー』
よね……?」
わたし「なーに言ってんですか!」
葉山先輩「ええっ?!」
わたし「それ、トートロジーじゃないです。意味、違います」
葉山先輩「……なるほどね。
トートロジーってそういう意味だったんだ」
わたし「はい、筆者の力不足により説明をはぐらかしてますけど」
葉山先輩「What?」
葉山先輩「恥ずかしいなあ。
ボキャブラリーで2学年下の一年生に負けるなんて」
わたし「でも、そうしないと覚えられないでしょ。
ところで──、
葉山先輩の家、ほんとに所ジョージさんの住んでるところに近かったんですね。」
そう、
放課後、わたしは、葉山先輩の家に来ているのです、来てしまったのです……!
わたし「わたし、所さんのCD持ってるんですよ」
葉山先輩「( ゚д゚)し、CD?」
わたし「ミュージシャンとしての所さんのほうが魅力的なんだけどな……」
葉山先輩「(・_・;)」
わたし「話題変えましょうかw」
葉山先輩のお部屋でふたりきりなう
わたし「すごい積ん読ですね……
というか、積んでるのが崩壊してるw」
葉山先輩「でもあなたの部屋もこんな感じじゃないの」
わたし「たしかに。でもこの部屋、もはや本が散乱してるじゃあないですか。
ダメですよー、掃除しないと」
葉山先輩「ほっといてもこうなっちゃうんだ」
わたし「あっ、」
そうだ、
葉山先輩は、
『しない』んじゃなくて、
『しようとしても、できない』んだ、
それを人は時に誤解するんだ。
わたし「(;´・ω・)すみません、先輩」
葉山先輩「いいのいいの」
葉山先輩「お母さんがいるから、今は片付けてくれていて、助かるけどね。
やがてはお母さんに頼れなくなるよね。
だから、努力はしてるんだ、努力は、拾ったりとか、そうね、拾ったり拾ったり、」
わたし「(ぴしゃりと)先輩。」
葉山先輩「はい(・_・;)」
わたし「コーヒーが飲みたいです」
葉山先輩「じゃあわたしが用意──」
わたし「ダメっ!
コーヒー豆あります?」
葉山先輩「(・ヮ・;)ある、たぶん、でもわたし場所知らないよ?」
わたし「何かしらコーヒーはあるんでしょ?
わたし淹(い)れてくるから、先輩は少し休んどいて」
葉山先輩「……(; ´д`)トホホ。
それがいいみたいね」
コーヒー豆を見つけ出し、
豆を挽き、
お湯を沸かし、
ふたり分のコーヒーを作った
「(部屋にできるだけ近寄り)せんぱーい、角砂糖ありますか?」
『たぶん』
「何個要ります?
わたしはブラックでいいですけど」
『(弱々しく)ふたつ』
「ミルクはー?」
『(弱々しく)要る』
ふたたび、先輩の積ん読に埋もれる身の危険を感じながら
葉山先輩「いろいろ大人だねぇ、羽田さんは」
わたし「なにいってるんですかw」
葉山先輩「この頃は、あなたのほうがお姉さんだよ……(しんみりと)」
わたし「へ、へけっ!?」
葉山先輩「なぜにハム太郎!?」
わたし「アツマくんの邸(いえ)に今住んでるの五人ですけど、わたしが下から二番目に年少なんです」
葉山先輩「戸部くんの妹さん何歳なの」
わたし「中学三年の15歳ですよ。あすかちゃんはしきりにわたしを姉と慕ってくれてますけど、諸々(もろもろ)の点であすかちゃんのほうがお姉さんだったり」
葉山先輩「(。-∀-)ふーむ」
わたし「あーっ、先輩いやらしい」
わたし「あすかちゃんはアツマくんや藤村さんたちの高校受けるんです」
葉山先輩「アンの高校を!?」
わたし「(´⊙ ⊙`)あ、アン?!
わたしの高校に赤毛のアンなんていませんよ」
- 作者: ルーシー・モード・モンゴメリ,Lucy Maud Montgomery,村岡花子
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葉山先輩「ちがうちがうちがう、『藤村さん』じゃなくて、下の名前のアン(杏)って呼ぶようにしたの」
わたし「ああ、そういうことですか」
葉山先輩「わたし今度アンの家に家庭教師やりに行くことになった」
わたし「家庭教師ですか? へーっ、いいな、報告してくださいよ」
葉山先輩「何を?」
わたし「(ゴニョゴニョ)」
葉山先輩「耳打ちする必要あったのそれw」
漫画も床に散らかってる。
『片山まさゆき』……??
って、これ、
わたし「『ぎゅわんぶらあ自己中心派』って、麻雀漫画でしょこれ!?」
葉山先輩「失礼な、片山まさゆき先生の作品は、麻雀の枠を超えて……」
わたし「『モンキーターン』」
葉山先輩「違う!『いちはろんシアター』と読みなさいそこは」
わたし「あのねえ……(呆然)」
葉山先輩が、
また、わからなくなってしまうので、
わたしは……、
葉山先輩のご両親の家事を手伝うことに決めた。
そして夜へ──。