とくに愛には来るように言われてはいなかったのだが、フラフラと来てしまった。
文化の日。
愛の女子校の文化祭。
なんか葉山? っていう先輩とリベンジマッチみたいなことを、あいつはやってるらしいがーー。
その先輩って、たしか、ピアノコンテストで優勝した人だろ。
次に演奏した愛がやらかしてしまったので、あいつを立ち直らせるので精一杯で、その先輩の見た目や演奏は漠然としか覚えてないが。
愛、復讐モドキでもやる気なのか?
おまえらしくないぞ。
なんか人の波が、移動してる最中なんだが。
「なにが起こってるんだ(;´Д`)」
「あ、アツマさん、戸部アツマさんですよね?」
「さやかさんじゃないか」
愛の親友・青島さやかさん「クイズならもう終わりましたよ」
おれ「クイズ!?」
さやかさん「あれ、聞かされてなかったのか。3本勝負のうちもう1本は終わったんです。」
おれ「クイズって、アメリカ横断ウルトラクイズみたいなことしたのか」
さやかさん「やだなあ、クイズダービーでしたよ」
おれ「・・・・・・巨泉?」
さやかさん「巨泉じゃなくて小泉さんっていう先輩が司会やってたんですけど、途中からクイズとかそういう形式じゃなくなっていって」
おれ「???」
さやかさん「クイズ対決の勝敗も、うやむやにw」
さやかさん「もう対決ムードとか、ふたりの間にはないような空気になってますねえ」
おれ「ふたり、ってのはつまり」
さやかさん「愛と葉山先輩のことです」
おれ「そうだ、葉山先輩が、あのコンテストのときに圧倒的な演奏力で愛をコテンパンにしたーー」
さやかさん「アツマさん。」
おれ「な、なにあらたまってるの(;´Д`)」
さやかさん「ありがとうございました。」
おれ「はい!?」
さやかさん「アツマさんのおかげで、いま愛はここにいるんですよ。あなたがいろいろ愛にしてくれたから」
若干恥ずかしいおれ「いや、それは、愛は居候してるような立場なんで、おれの妹ともども、肩身が狭いような思いを愛にはさせないように気づかってゴニョゴニョ」
さやかさん「それは、気くばりじゃなくて、妹さんやアツマさんの、
『まごころ』なんだと思います」
おれ「・・・・・・照れるなあ、照れちゃうよ、おれ。」
さやかさん「アツマさん、これからも、愛の支えになってくださいね」
おれ「モチのロンよ。
ところで、愛のほうでも、言ってたぞ、『わたしがさやかの心の支えになるんだ』って」
うつむき気味に顔を赤くしたさやかさん「……」
おれ「『さやかは、妥協を許さないのはいいんだけど、頑張りすぎるところがあるから、手を抜くことも覚えてほしい』ってさ」
(しばしの沈黙)
さやかさん「愛、自分から言えばいいのに、『休むのも義務なんだから!』とか言ってくれたらーー」
おれ「ま、このイベントのことで頭いっぱいで、言う暇なかったんだろ。葉山先輩とのあいだでもいろいろあったみたいだし、なぜか藤村が絡んでいたみたいだけどw
それはいいとして、
さやかさん、こんどきみが、おれん邸(ち)に来るとき、
マリオカートやらないか」
さやかさん「げ、ゲームはあまり得意じゃなくて、兄といっしょに子供のころはよく遊んでいたんですが」
おれ「じゃあ愛よりはゲーム、得意だなw」
さやかさん「へ」
おれ「ジュゲムがうざいんだったらマリオカートじゃなくても……、
あのさ、『ウエーブレース64』って知らないか?」
さやかさん「!!!!!!」
さやかさん「兄とのおもいでのゲームです……。
もっとも、わたしがほんとうに幼い頃に兄とプレーしてた想い出があるというだけで。
わたし2002年生まれで、2010年代になると、DSみたいな携帯機も通り越して、スマホゲーとかが優勢になってきたじゃないですか。
スプラトゥーンが流行るころには、もう兄は家を出ていたし、わたしのゲームにたいする興味も、もう冷えっ冷えで!
64もゲームキューブも、いまどこにしまっちゃったんだろう。
売ったのかな・・・(・ω・`)」
意外と語るなあ。
詳しいぞw
おれ「64やゲームキューブの行方がわからないなら、おれんちでやればいいじゃないか」
さやかさん「あるんですか!?」
おれ「スーファミやメガCDもあるぞ」
さやかさん「メガCDはどうでもいいんですが(^_^;)
玉手箱みたいな家ですねw」
おれ「ああ、玉手箱というか、宝箱というかww」