中学に入るとき、ホックを留めるタイプのブラジャーをはじめてつけた。
おかあさんといっしょに、おかあさんにつけ方を教わりながら、悪戦苦闘して。
反抗期だったのかな? 途中で「ひとりでできるもん!」って、おかあさんを部屋から追い出しちゃって。
でも、 けっきょく、できなくて、おかあさんに助けを呼んで、手伝ってもらって……ようやく自分でできるようになって。
鏡を見たら、「これがわたしなんだ」って思って。
「最初はひとりではできないこと」が、女の子のほうが多くて。
強がってるって見られたくなくて、強がるしかないのが、悔しくて。
わたし、悔しいのが、いちばんイヤ。
そんな負けず嫌いのわたしのことを、わかってくれる男の子が、アツマくんで、でも、時々は寄り添いたくて、いつから、いつから……!
◯戸部邸
突如帰ってきたアツマと愛がソファーに並んで座っている。
アツマ「……(・.・;)」
愛「……(//////)」←なんだか恥ずかしい
愛「流さんに、彼女さんがいるって、わかったとき」
アツマ(その話かよ……)
愛「泣いちゃったよね、アツマくんの前で。
(笑いながら)ボロボロに泣いた。」
愛「あのね、アツマくんは、わたしのヒーローなんだ、たぶん」
アツマ「(・_・;)」
愛「10回に1回だけ大活躍するヒーロー」
アツマ「ズコー!!」
アツマ「おまえなあ、その言い方はどうなんだよぉ」
愛「感謝してるのっ!」
愛「ねえ、一日だけ、家にいて。
一日だけのわがまま。
明日からまた夏期講習に行って」
アツマ「(できるだけ柔らかい言葉遣いで)さみしいんじゃないのか?」
愛「大丈夫。
(元気に笑って)わたし、そんなに弱くない」
8月7日。
アツマくんに昼ごはんを作って。
アツマくんも料理をちょっと手伝って。
アツマくんと一緒に勉強して。
あすかちゃんの部屋で彼女の勉強もみてあげて。
アツマくんがリクエストした曲を弾いて。
途中から弾きながら歌っちゃったりして。
弾くのと歌うのとで疲れて、ソファで寝てしまって。
目覚めたら、こんどはアツマくんのほうが横になって爆睡していて。
たぶん、受験のプレッシャーで、いろいろ気が張っていたのね。
わたしは、水族館で買ったイルカのぬいぐるみを持ってきて、枕代わりに、爆睡しているアツマくんの頭の下に入れてあげた。
部屋から下りてきたあすか「お兄ちゃん、だらしないなあ」
愛「よく頑張ってるのよ。」
あすか「それはそうと」
愛(トクン)
あすか「(満面の笑みで)進展はありましたかw」
愛(トクントクントクントクントクン)
愛「な、なかったわよ、そんなの! (;´д)プイッ」
あすか「……(・∀・)」
(ま、いっか。
まだ8月が始まったところだし。
時間の問題だと思うけどな、
お姉さんのほうがーー)