愛は難しい顔をして、柴田翔『されど われらが日々ーー』を読んでいた
流さん「どうしたんだい、文庫本と、にらめっこしてるみたいじゃないか」
愛「・・・・・・流さん、」
流さん「?」
愛「流さんは、彼女さんに、ごはんを作ってもらったこと、ありますか?」
流さん「!?」
流さん「・・・・・・・・・・・・ない、と言ってしまったら、ウソになる」
愛「どれくらいの、どれくらいの頻度で、流さん、流さんは、流さんの彼女さんに、ごはんを作ってもらっているんですか?」
(1分間の沈黙)
愛「この小説(されど われらが日々ーー)の語り手は、『節子』っていう親戚の女の子と婚約していて、その子に下宿に来てもらって、下宿に来てもらうたびに、ごはんを作ってもらっているんです」
流さん「・・・・・・同棲、じゃないんだな(^_^;)」
愛「この小説の時代は、そういう男女関係のかたちも、ヘンじゃなかったんじゃないかって、そう思うところはありますけど」
流さん「そ、それは、いつの時代の小説なの・・・・・・」
愛「(質問に耳を貸さず)流さんは、彼女さんのところに行って、ごはんを作ってもらうことがあるんですよね? 彼女さんは、この家(戸部邸)に来たことはないですから、流さんが、その、彼女さんの・・・・・・マンションだったり、実家だったりに・・・・・・」
流さん「お、お、おちつくんだ、愛ちゃん」
しょげた愛「(エビアンを飲みながら)すみませんでした・・・・・・。
この前アツマくんに晩ごはんを作ってあげたことがあって、脳裏にそのときのことがーー」
愛が落ち着きを取り戻し、エビアンをグラスに入れて戻ってくるあいだ、沈思黙考していた流さん「えーと、『されど われらが日々ーー』では、節子ちゃんっていう、語り手の婚約者がいて、」
愛「はい」
流さん「節子ちゃんは語り手の下宿に通っている、それでごはんを毎度のごとく語り手に作ってあげてる」
愛「野菜炒めとかを作ってあげてるみたいですね」
流さん「まるで『通い婚』だねw」
愛「(間髪入れず)流さん、『通い婚』の意味が間違ってます。逆です。男性が女性のところに通うのが『通い婚』です」
流さん「ギクッΣ(゚Д゚;)」
流さん「つまり、僕のほうが『通い婚』ってわけか(;´Д`)」
愛「( ゚д゚)ポカーン」
流さん「ど、どうしたんだい(;´Д`)」
愛「( ゚д゚)」
流さん「えええ・・・・・・・・・・
(; ゚д゚)ハッ!」
流さん「そうか、『僕たちが婚約した』と勘違いしたのね(^_^;)
ぼくが、自分が『通い婚』状態だって、紛らわしい言い方をしてしまったから。
言葉が足りなかった。
『婚約しているわけじゃないけど』、通い婚みたいだな、って言うべきだったか」
愛「すみません_| ̄|○」
流さん「えーのえーの(^_^;)」
流さん「えっと、ごはんを作ってもらうのは、月イチぐらいかな、それか月に2回」
愛「やっぱりそんなもんですかね、今は」
流さん「それは、わかんないよ。ひとによって、いろんな答えが返ってくると思うよ」
愛「にしても!」
流さん「(゚д゚;;)ビクツ!」
愛「この小説の語り手のオトコは酷いですよ!! 節子ちゃんが、わざわざ郊外の下宿に遠出して野菜炒めとか作ってくれるのに、このオトコは、あんな煮えきらないような態度で、しかも、しかも!!!」
愛は『されど われらが日々ーー』の内容を最初から最後まで流さんに話した
流さん「・・・・・・(;・∀・)」
愛「どう思いますか!? いくら昭和三十年代が小説の時代設定だからって、ひどくないですか💢💢」
流さん(今度愛ちゃんに、美味しい野菜炒めの作り方を教えてもらわなきゃな)
なんと次回に続く