・クリスマスの朝ーー
起きて、部屋から出ようとした愛だったが、ドアを開けると、足元に何か包みが置いてある。
愛「これは……もしや(;・∀・)」
× × × × ×
愛「ちょっとちょっと」
アツマ「なに」
愛「( ^ω^)」
アツマ「なに、その満面の笑みは」
愛「これ! これ、あんたが置いたんでしょww」
パスワードのおくりもの -パソコン通信探偵団事件ノート(2)- (講談社青い鳥文庫)
- 作者: 松原秀行,梶山直美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/07/20
- メディア: 新書
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アツマ「(頭をポリポリかきながら)おれと流さんがカネを出し合って買ってきたんだよ。ほとんど流さんのカネで買ったんだけど。
大変だったんだぞ。それ(旧版)はリライトされる前のやつだったから、新刊書店に出回ってないんだよ。ブックオフを何軒もはしごしてーー」
愛「それはごくろうさま。ありがとう」
アツマ「・・・・・・」
愛「なにか」
アツマ「あの、手紙というか、反省文も、添えておいたんだけど……」
愛「フフフフフ」
アツマ「読んだ?(;´Д`)」
愛「あはははははははっ!! 読んだわよwwwwもちろんwwwあんた字がほんと汚いわねwwww」
アツマ「うるさいなあ(-_-;)」
愛「わたしも大人気なかったから」
アツマ「おまえまだ15歳だろ。流さんがいちばん大人だったよ、今回は」
愛「流さん、『クリスマスプレゼント』、ありがとうございました」
流「いやいや。
アツマには話してたらしいね、きみが、読書に目覚めるきっかけが、はやみねかおるの『夢水清志郎』シリーズと、松原秀行の『パスワードシリーズ』だったって」
愛「小学校低学年のときです」
流「それはずいぶん早いな。中高生の読者もたくさんいるようなシリーズだそうじゃないか」
愛「でも、挿絵があるし、ルビもたくさんふってあるんで、読みやすかったんです」
愛「わたし、いくら読書に興味を持ってくれって促しても、読む本がつまらなかったらダメだと思うんです」
流「アツマにも読ませたの?」
愛「いいえ、だって児童文学をすすめたら、彼のプライドが傷つくと思って」
愛「でも、松原先生とはやみね先生の作品は、わたしの原点です」
流「講談社青い鳥文庫は、もう少しまじめな作品もあるし、他のシリーズもあるよねーー『クレヨン王国』だったり『若おかみは小学生!』だったり」
愛「なんでだったんでしょうね。でも講談社も、むかしは夢水清志郎とパスワードを青い鳥文庫の2枚看板として推しだしていたじゃないですか」
流「そうだったね」
愛「わたし、絵本が嫌いだったんです」
流「へえ、変わっているね」
愛「『いやいやえん』とか、いかにも幼児に親が読ませそうな本も苦手で」
流「じゃあ、幼稚園のときは、さほどーー」
愛「絵本を読まされていたけど、読書はあんまり好きじゃなかったんだと思います」
愛「で、心配した親が、書店にわたしを連れて行って、直観で買う本を選ばせたんです」
流「小学校に入ってから?」
愛「そうですね。そしたら、青い鳥文庫の棚から、『パスワードは、ひ・み・つ』と『そして五人がいなくなる』を持ってきたそうなんです」
パスワードは、ひ・み・つ―パソコン通信探偵団事件ノート〈1〉 (講談社 青い鳥文庫)
- 作者: 松原秀行,梶山直美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/06/15
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そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノ-ト (講談社青い鳥文庫)
- 作者: はやみねかおる,村田四郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/02/15
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流「この2枚看板のうちで、たとえばどちらか一方を選ぶとすれば?」
愛「夢水清志郎のほうが人気はあるんですけど、わたしはパスワードのほうを選びますね」
流「ほお」
愛「判官びいきもありますけど、『パスワードで恋をして』なんて感動しちゃって、いまでも半年に一度は読み返すんです」
流「それは意外だな。いまのきみが児童文学を読むなんて想像つかないよ」
パスワードで恋をして -パソコン通信探偵団事件ノ-ト(8)- (講談社青い鳥文庫)
- 作者: 松原秀行,梶山直美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2000/02/15
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愛「そこは想像力を働かせてくださいよw 作家志望なんでしょう?」
流「きみは本を書く気はないのかい」
愛「全然」
流「『謎』だなあw」