・選挙カーのけたたましい音
アツマ「あーもうぅるっせえなあー、土曜ぐらい静かに読書させてくれよ」
愛「あんたが言えることじゃないでしょ」
アツマ「( ゚Д゚)ハァ?」
愛「あんた、いま、高校2年生よね?」
アツマ「それがどうした」
愛「やれやれ……呆れちゃった」
アツマ「何がだよ💢」
愛「あのねー、『18歳選挙権』って聞いたことがないの?」
アツマ「ない」
愛「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」
アツマ「痛え! どこにハリセン隠し持ってたんだおまえ!?」
愛「(怒りっぽい口調で)学校の『政治・経済』や『現代社会』で『18歳選挙権』のこと、やってないの!?
わたしの学校は先生が取り上げたわよ」
アツマ「おれの学校は2年生は『公民』やらないの」
愛「でも去年は『現代社会』やったでしょうが」
アツマ「『現代社会』って『現社』?」
愛「なんでも略さないのっ」
アツマ「やったよ」
愛「なら、参議院選挙のときに『18歳選挙権』のことを先生が言ってたはずよ?」
アツマ「あー、現社の授業は昼飯のあとの時間でずっと寝てたんですよねーw」
愛「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」
アツマ「うわっひでえ! 2発目がきた!」
愛「笑い事じゃないわよ!!」
アツマ「へ?」
愛「選挙カーがうるさいって言ったからには、明日が衆議院選挙の投票日だってことは知ってるのよね!?」
アツマ「YES」
愛「あなたの学校の3年生のなかで、18歳になった人は、あした、投票する権利があるのよ」
アツマ「えっ、あれってハタチ以上じゃないと投票できないんじゃないの」
愛「なに寝ぼけたこと言ってんの!? 選挙権が20歳から18歳に引き下げられたのよ!」
アツマ「初耳」
愛「(-_-;)」
アツマ「どうした」
愛「呆れて何も言えない」
アツマ「あーあー、つまりおれも、次の選挙のとき、未成年であっても投票に行かなきゃならん可能性が極めて高いってことだな」
愛「飲み込みの速さはいつもどおりのようね……。
というわけで、高校3年生でも18歳になった人は投票所に行きましょう」
アツマ「誰に向かって言ってんの?」
愛「でも、『選挙カーがうるさくて読書に集中できない』ってのは『進歩』かもね」
アツマ「どういう進歩だよ……」
愛「それだけ読書に向かう意欲が上昇したってことでしょ」
アツマ「たしかに読書が『習慣』になってきたな。
まぁ、だけど、本を読まなくても、立派な人は立派だと思うけどな」
愛「ほんとかな~? (^_^ )」
アツマ「おまえが異常なんだよ」
愛「ほんとかな~? (^_^ )(^_^ )」
アツマ「いや! そこは自覚したほうがいいぞ(;´Д`)
大人向けの、活字オンリーの、難しい内容の本を、ひと月30冊読むJCってどんなJCだよ」
愛「ジェーシー? (きょとん)」
アツマ「やっぱおまえ浮き世離れしてるの自覚しろよ!! JCが女子中学生のことだって、たぶんおまえと同年代の女子が100人居たら98人くらいは知ってるぞ!?(;´Д`)」
愛「18歳選挙権とどっちが認知度が高いのかしら」
アツマ「おい……(;´Д`)」
愛「ところで、今まであんた何の本読んでたの」
愛「あー、むかし、読んだことがある」
アツマ「ネタバレはヽ(;´Д`)ノヤメテー」
愛「うふふ」
アツマ「おまえと違って読む速度が段違いで遅いんだよ! (;´Д`)
堪忍してくれよ」
アツマ「でも面白いよな、この小説」
愛「どこが?
どんなふうに?
『面白い』という形容詞は適切?」
アツマ「おまえ、学校でウザがられてるんじゃないのか!?
”また”不安になってきたぞ」
愛「生憎わたしの学校にいじめはありません」
アツマ「まあ、名門女子校ってそんなものなのか……けっこう陰湿そうな気もするけど」
愛「そんなこと全然ないわよ。勘でもの言わないでよ(´ー`)」
アツマ「それならいいんだけど(-_-;)」
愛「じゃああんたに『課題』を出してあげる」
アツマ「うわっ、調子に乗りやがって!」
愛「( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン」
アツマ「だからそのハリセンどこから出てくるんだよ!?」
愛「(スルーして)作文を書きなさい」
アツマ「いやだ」
愛「(スルーして)『黄金を抱いて翔べ』の読書感想文を原稿用紙5枚程度で書きなさい」
アツマ「それって何文字?」
愛「2000字」
アツマ「は!? 長えよ!!」
愛「(スルーして)ただし、本編から『引用』して、その引用した部分について自分が思ったことを説得力のあることばで書くこと」
アツマ「ひ、ひええええええ」
愛「これはね。
大学受験の、『小論文』の練習ね。
まぁ、◯◯大学や◯◯◯◯大学なんてあんたは志願しないでしょうけど……」
アツマ「おまえまだ中学生だろ!!(#゚Д゚)」
愛「生憎、中高一貫校なもので、先取りして、高校の『公民』(倫理と政治・経済)の授業を受けておりますが……ヽ(´ー`)ノ」
アツマ「それはいつまでに書けばいいんだよ!?」
愛「そうね、文化の日のあたりで」
アツマ「たった2週間しか余裕がねえ……」
愛「そこは猶予と言いなさい」
アツマ「そういうビッグマウスの羽田愛ちゃんは、今はどんな本を読んでいるの?」
愛「ベルクソン(ベルグソン)って覚えてない? 小林秀雄がしばしば引き合いに出す人ね」
アツマ「あ! この本! お前に昔読まされた!!」
アツマ「言ってたっけ」
愛「コラ💢」
- 作者: ベルクソン,Henri Bergson,中村文郎
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愛「というわけで、今読んでいるのはこれで~す」
アツマ「『時間』と『自由』……。またえらい抽象的な題名の本を。
どうせ難しいんだろうな」
愛「難しいわよ」
アツマ「おまえが難しいって言うならそうとう難しいんだろうな」
愛「フフフ…(黙ってアツマに26~27ページの見開きを見せる)」
アツマ「読めってこと??」
愛「パラパラめくってごらんなさい」
アツマ「!? なんだよこれ!? 5ページ半ぐらい改行が一切ない段落があるぞ!?」
愛「哲学書ってそういうものよ」
アツマ「また悟ったような口ぶりを……」
・グランドピアノの前にちょこんと腰掛ける愛。
アツマ「なに、なにか弾くの?」
愛「リクエストはありますか」
アツマ「この前はクラシックの『ドビュッシー』とやらを聴かされたからな……」
愛「残念ながら不評だったようで。
ポップスでもロックでもなんでもどうぞ」
アツマ「じゃあフレデリックのーー」
戸部あすか(アツマの妹)「はいは~い!! ACIDMANの『ある証明』!!」
アツマ「うわあぁぁ! 突然あすかが出てきやがった」
愛「弾けるよ~♪(*´ω`*)」
あすか「さすが~♪(*´ω`*)」
アツマ「あのですね、愛さん、あすかさん」
愛・あすか「なんでしょう?」
- アーティスト: ACIDMAN,大木伸夫
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
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アツマ「これ、貴女達が産まれたころの曲ですよね? ゼロ年代中期ってことは、僕らの世代よりひとまわり上の世代の曲ですよね?」
あすか「だからだよ、お兄ちゃん」
アツマ「はい? お兄さん意味がワカリマセン」
あすか「フレデリックよりACIDMANのほうがカッコイイもん」
アツマ「ぐ・・・・・・ぐぅの音も出ないぐらいに今どきの流行りを完全否定……(-_-;)」
・愛、黙って「ある証明」を弾き始める
アツマ(小声であすかに)「おい、これって、ピアノで夜に演奏するような曲じゃないよな……?」
あすか「? (・∀・)」
アツマ(あすかのスルースキルが二段階ぐらい高まってる……!)
・こうして、愛の『ある証明』のピアノ演奏は、際限なくテンションが高まっていくのだった……!