【愛の◯◯】呑まれてないもん……

はいこんばんは! 蜜柑でーす。

 

きのうは、アカ子さんの学校のお友だちのさやかさんが邸(ウチ)に来てくれて、お楽しみでしたね~。

 

正月疲れが溜まっていたアカ子さんは寝落ちして、さやかさんのからだに身をゆだね……、

おっとここから先は刺激が強すぎるでしょうか?

ま、なにもなかったんですけどね、

とうぜんww

 

「おかしなニヤけかたしないのっ、蜜柑💢」

 

「おっとお嬢さま」

 

「おっと、じゃないわよ。

 また不埒(ふらち)なこと考えてたんでしょう…」

 

「不埒だなんて、そんな」

 

「(自室に手招きするように)ちょっと手伝ってちょうだい」

「なんですかぁ?」

「ーー部屋の床が少し散らかってるから、学校のプリントとかで。

 だから片付けるのを手伝ってほしいの」

 

・アカ子さんの部屋に突入

「なるほど、アカ子さんにしては、散らかしてるかもしれませんねぇ」

「忙しくて、疲れて、きちんとする余裕がなかったの…」

ふにゃっとなってましたもんねぇ、きのうとか」

 

「ふ、ふ、『ふにゃっ』って、なによ」

 

ティータイムの途中で眠り込んじゃったじゃないですか」

 

「あれは、さやかちゃんに、めいわく、かけちゃったけどーー、

 それが、どうか、したのかしら?」

 

「ですからアカ子さんの寝姿(ねすがた)がふにゃっとなってて、かわいかったんですよwww」

 

そそそそそんなだらしないかっこうで寝ちゃってたかしらわたし

 

「だらしなくはなかったんですけどーー」

 

「!! もしかして、寝てるところ盗撮したんじゃないでしょうね」

 

「いいえ?」

「(Д`;)じゃ、じゃあはやく手伝ってよ、

 なによ、『ふにゃっ』て。

 わたし、そんなにフニャフニャしてそうかしら」

「(床に落ちてるプリントを拾いながら)…やわらかそうですよね」

「(Д`;)なにそれ!? 『やわらかそう』って、わたしのどの部分のことよ!?」

 

さすがにこれ以上追及するのはかわいそうだったので、

なにも言わず、部屋の整理整頓を手伝ってあげたわけです。

 

 

 

「じゃあわたし学校の勉強するから。

 くれぐれもジャマしないでちょうだいね」

 

「はいはい♪」

 

 

 

× × ×

 

・2時間後

 

アカ子さんの部屋に、こっそりと入る。

 

思ったとおり、彼女は勉強したまま机で寝落ちしてしまっていた。

 

かすかな寝息。

 

仕方ない。

疲れてるうえに、学校の勉強についていくのも大変なんだから。

 

彼女は優等生だけど、努力してないわけがない。

むしろ努力することが、彼女の才能なんではないのかと、

思ってしまうぐらいに。

 

 

だからわたしは、からだが冷えないように、眠りこけた彼女の肩に、そっとセーターをかけてあげた。 

 

「(つぶやくように)親心……とは違うけど。

 

 お姉さん心、っていうのかな。

 

 見守ってますよ、アカ子さん。」

 

× × ×

 

・階下(した)に降りてみるとーー

 

階下(した)に降りてみると、

お父さんとお母さんが、

お酒を飲んでいた。

 

晩酌(ばんしゃく)、ってところかしら。 

 

 

みーちゃん、一緒に呑(の)まない?

 

「Σ(;・・) えっ、お母さん…

 わたしも…つきあえ、とおっしゃるんですか!?」

 

「たまにはいいでしょ~?w

 みーちゃんだって、溜まってるモノ、あるでしょうにww」

 

「(;・・)溜まってる、とは」

「正月疲れと、その他もろもろww

(;--)

 

 

できあがってるんだろうか。

 

でも、「呑(の)みたい」という気持ちを、わたしは否定できなかったりする。

 

まだアルコールに慣れているわけじゃないし、どちらかといえば、呑むより呑まれるほう。

 

だけど、基本自宅ひきこもりで、その裏返しみたいに「パーッとやって、発散してみたい」という思いも心のどこかであって、お母さんの今晩のお誘いを断れなかったのです。

 

「みーちゃん注(つ)いであげるよ」

「じぶんでやりますぅ」

 

ビールで乾杯するわたしとお母さん。

 

 

……お父さんが、

高そうなお酒を飲んでいる。 

 

「ほんとうにお父さんはお酒にお強いですよね」

「(グラスを揺らして)うちの家系はそーなんだ。

 お父さんのほうも、お母さんのほうも。

 (お母さんに)なあ?

 

 ーーほらなw

 

 だから先の話だが、アカ子もたぶん酒を呑んでも酒には呑まれないだろう。

 

 ーー安心だなw」

 

……ひとこと多いのは、

アルコールのなせるわざ、なのか。

 

わたしは瓶ビールの二杯目を飲み干した。

手酌(てじゃく)ですぐさま三杯目を注(つ)ぎたす。 

 

「今夜のあなた下品ですよ~~w

 

 それに、ほら、みーちゃんのペースに合わせてあげないと~~」

 

「おおすまんな、蜜柑はそんなでもなかったな」

 

「はい、どちらかというと弱いです。

 

 

 (ビールを立て続けに飲んだ影響で顔が熱くなるのを自覚しながら…)

 

 

 おとうさあんおかあさあん、

 さみしいんですよ、わたし」

 

「(氷をグラスに入れながら)、どうさみしいんだあ?

 お父さんに言ってご覧」

「やあねえあなた、『出逢い』がないのよ、『出逢い』が! みーちゃんには」

「(グラスの中で氷をくゆらせながら)かあ!!」

 

「そうですよお、そうなんですよお!!!

 

 おじょーさまだけ、あかこさんだけズルくないですか!??!?!」

 

 (何杯目かのビールを飲み干し、コップを叩きつけるように置く)

 

「いっしょにはつもーでしたり、ツーショットしゃしんとったり!!!!!!

 

 りあじゅーになりかかってますよお、ちょっと!!!!!!!

 

 スキンシップがしんこーしてるんですよお、『かれ』と!!!!!!!

 

 

 き、

 きびしくいってやってくださいよぉ、もうちょっと」

 

 

「(^_^;)みーちゃん、グデングデンになっちゃってるから、ビールは『おあずけ』ね、もう」

 

「(上機嫌に)母さん、お水を持ってきてやりなさい♫」

 

 

「ーーなんでむしろわたしにきびしーんですかあ」