【愛の◯◯】ありがとう、ありがとう、タカ…!!

こんにちは。

水泳部の千葉です。

 

あ、

正確には、引退したから、

元・水泳部か。

どっちでもいいや。 

 

ところで、大学入試シーズンが近づいております。

入試に向けて(?)、

雑念を振り払い、無心になるため、

きょうもわたしは放課後、学校の室内プールで泳ぎ続けていたのでした。

 

そしたらーー 

 

千葉ちゃ~ん♫

 

(;´Д`)は、葉山先輩!??!

 

 

× × ×

 

「突然来ないでください。

 

 どうしたんですか、大学を受けるんですか?」

「ん…、

 

 ふらっと来たw」

「ヒマなんですね」

 

深刻な表情になる葉山先輩

 

「す、すみません、言葉がトゲトゲしくって。

 傷つきましたか…? 

 ほんと、ごめんなさいっ」

「いいんだよ。

 

 謝るのは、わたしのほうだから」

ごめんね千葉ちゃん…、

 メロンソーダ買いに行かせたりして

 

「そ、そんな些細(ささい)なことで謝られても、困るんですけど」

「厳しいね、千葉ちゃんはw」

 

「葉山先輩」

「なぁに」

「その…体調とか…あと……こころの調子とか……どんな感じですか」

「いいじゃん、そんな口ごもらなくても。

メンタルヘルスどうですか?』って言えばいいじゃないw」

「(-_-;)……」

 

「ちょっとね、くたびれてるかな。

 わたしの病気ね、

 調子に波があるの」

 

病気、

と、

先輩ははっきり言った。

 

「でも、誕生日祝ってもらって、矢印上向きかな」

「…こわくないんですか、

 矢印が、下向きになるの」

「んー、むかしは暴れたりしてたけど」

「けど…?」

「いまは、支えてくれる人が増えたから。

 わたしの事情、オープンにして良かったって思ってる。

 

 (わたしの腕を取って)千葉ちゃん、あなたもそうだよ」

 

「…先輩の支えになってますか、わたし……?」

「うん。」

「(・_・;)」

「悩まなくてもいいじゃんw」

 

「(・_・;)め、メロンソーダ買ってきます」

 

× × ×

 

 

「そっかー。

 千葉ちゃんも千葉ちゃんで、くたびれてるんだねえ」

「ーータカが納得してくれるかどうか」

「新しいスポーツを始めるってこと?」

 

(うなずくわたし)

 

「きっとだいじょうぶだよ」

「り、理由はーー」

「お互いに信頼してるんでしょ?

 

 千葉ちゃんはタカくんのことを、

 タカくんは千葉ちゃんのことを。

 

 じゃあ、うまくいかないわけないよ」

「ずいぶんポジティブな言い方しますね、先輩」

「あのね…」

「…はい」

「わたしにも、幼なじみの男の子がいて。

 キョウくんっていうんだけど」

「知ってます(←即答)」

 

少し顔を赤らめる葉山先輩

 

「わたしはキョウくん信頼し切ってるし、

 キョウくんもわたし信頼し切ってる、

 

 だからわたし、キョウくんの前だと、なにも怖くない」

 

「ーーもう結婚しちゃえばいいじゃないですか。」

「(まともにうろたえて)ば、バカっ、千葉ちゃんのバカバカ! じょ、じょうだんゆーんじゃないわよ、いつからそんなナマイキになったのよっ

 

「…ふふw

 

 ありがとうございます。ちょっと勇気が出ました。

 

 あとーー、

 さっきの先輩、ちょっと可愛かったですww」

 

「もう。

 可愛くない後輩持っちゃった。

 

 …あはは。

 

 お互い元気出しましょうね。

 約束よ。」

 

 

 

 

 

 

× × ×

 

@タカの家

 

♫ピンポーン

 

「タカ、いますか?」

「いるわよ。

 なに、あらたまってw」

「…話があるんです」

 

 

@タカの部屋

 

真正面にタカがいる。

 

わたしはタカをまっすぐ見つめる、

見つめることができる。

 

 

「タカ、

 わたし大学では水泳やらない。

 新しいスポーツ始める。

 具体的には…バスケとか、興味がある。

 水泳は個人的に続ける。

 でも、高校で、わたしのスイマー人生は、ひとつの区切り。

 

 ……、

 いますぐに、『納得して』とかは、もちろん言わない」

 

「いや」

 

「(少し驚いて)ーータカ!?」

 

「おれは納得した。」

 

「ど、どうして、そんな簡単に」

 

簡単に納得したんじゃねーよ!!

 

『ビクン』

 

「…素直に。

 

 素直に、納得できたんだよ。

 

 おまえの眼に、迷いがなかったから

 

「眼!?

 

 ……どうしてわかるの、タカ…………」

 

わかるんだよ。

 何年となりに住んでると思ってんだ、ばか。

 

 

 

自然と、

わたしは、タカに抱きつきながら。

 

 

ありがとう、ありがとうタカ!!

 わかってくれて、わかってくれて…!!!

 あなたがいてくれてよかった、タカ!!!!

 これからも、ずっとずっとよろしくね……