【愛の◯◯】動揺するスポーツ新聞部にハルさんがーー

放課後

スポーツ新聞部

教室

 

岡崎さん「きょうプロ野球のMVPが発表されるねえ、あすかさん」

 

わたし「    」

 

岡崎さん「(;´Д`)あ、あすかさん!?」

 

わたし「∑(*'д'*)ハッ」

 

わたし「(*'д'*;) す、すみません、リアクションが遅くて」

 

瀬戸さん「なにかあったの?

 部長が熱出して、きょう欠席してることとーー」

桜子さん「(瀬戸さんの耳をグリグリつねりながら)部長は受験勉強で根を詰めすぎて熱を出したんでしょっ」

瀬戸さん「(痛みに耐えながら)でもきのうの第一発見者はあすかさんで、保健室に運んだのもあすかさんで」

桜子さん「瀬戸くんのわからずやっ

 

わたし「いいんです!!

 

(一同、沈黙)

 

わたし「部長、ほんとにがんばってるみたいです。

 心を入れ替えたって、

 背水の陣だって」

 

桜子さん「…急な変わりようね」

岡崎さん「逆に、じぶんを追い詰めてるような…」

 

わたし「だっ、だから桜子さんも岡崎さんも瀬戸さんも、部長を応援してあげてください」

 

岡崎さん「(幾分真面目な口調で)あすかさん、おれたちのほうが、部長と接してる時間は長いんだよ」

 

 

わたし「あっ……

 

 

瀬戸さん「岡崎! 少し無神経だぞ」

岡崎さん「少し無神経って、どんな日本語だよ…」

 

 

まずい空気。

 

部長がいないだけで、

空中分解してしまいそうに。

 

部長の存在のありがたさを、噛みしめるーー。 

 

 

ガラッ

 

 

『あのー、お取り込み中ですかぁ?』

 

 

わたし「は、

 

 ハルさん!?

 

桜子さん「ほんとだ、サッカー部のハルくんだ」

 

岡崎さん「…(ピリピリと)何しに来たんだ」

 

ハルさん「あすかちゃんに連絡事項が」

 

岡崎さん「いつから『ちゃん』付けになった……」

 

わたし「わっわたし、今週はサッカー部は、セルフ取材自粛期間なんですけど」

 

 

一同『!?

 

 

 

× × ×

 

けっきょく、ハルさんに連れ出されるようなかたちになってしまった。

 

「お、岡崎さんとなんか因縁でもあったんですか」

「別にw」

「でも岡崎さん、あんなに凄(すご)んで」

「あっちがピリピリしてるだけじゃないかな。

 おれが乱入したの、まずかった?」

「部屋に入るときはーー」

「ノックするべきだったか、ごめん」

「はい…」

 

「連絡事項はね、

 マオさんから、

大人げなかった

 って」

 

「ーーそうですか。」

 

「『あすかちゃんが、謝ったり、反省したりする必要はないから』って」

 

「そうですか……。

 

 ハルさん、わたしーー」

 

「うん」

 

「わたし、ハルさんも中村部長も、尊敬してるんです。

 

『わかってください!』なんて、べつに言いませんけど。

 

 でも、

 人間関係って、難しいですね。

 

 わたしが子供で、未熟で」

 

「あすかちゃん」

「は、はいっ、」

「アカ子さん…いや、アカ子が、きみが書いた記事をほめていたよ」

「そうですか…それはよかったです。

 

 

 

 

 呼びすてなんですね」

「やっぱ突っ込まれちゃったか~」

「100人いたら80人突っ込むと思います」