カフェ『リュクサンブール』
ハァイ、戸部アツマだよ。
連休明けで、きょうもカフェで労働。
いよいよ夏休み最後の週で、
バイトも今週でおしまい。
だから張り切って労働していた、
まさか今日は知り合いも来ないだろう、
いや、葉山が来るかもしれないが、
適当に受け流していればいいんだ、
ここに来る知り合いも、もう増えないだろう、
そう、
信じていたところがーー、
♫カランカラン♫
「Σ(゚∀゚ノ)ノキャー!! 戸部くんがコーヒー運んでる」
「( ゚д゚)……」
お客さん『あのー』
「( ゚д゚;)ハッ! も、申し訳ありません、あさっての方向を見ておりました」
お客さん『きみ、おもしろいねwwww』
「( ゚д゚;;)か、火曜日のスペシャルブレンドでございます…」
ルミナさんが、
ルミナさんが、
うちの店に、
やってきた。
どうやってここを突き止めたのか。
特になにも言ってないのに。
「いらっしゃいましぇ」
「噛んだw」
「ご注文はのちほどーー」
「」
× × ×
で、
なんかルミナさん、
ドギマギした様子になってる。
どうしたというのか。
「おまたせしました…」
「……」
「……」
「戸部くんあのね」
「どうかなさいましたか」
「これ…」
(おれの手に何やらメモ書きのようなものを潜り込ませる)
× × ×
【バイト終わったあとで、少し話せないかな?
お願いしたいことがあるの】
同僚のお兄さん「また知り合いの女の子やってきたねえw」
「大学の先輩です」
同僚のお兄さん「顔広いんだねw」
「そんなことないです」
泣きたい気分だよ。
同僚のお姉さん「あ、葉山ちゃん来たよ!
ほらほら、葉山ちゃんに接客接客ww」
orz このタイミングで葉山もかよ……。
どうにかバイトが上がった
「ちょっと歩こうよ戸部くん」
「はい。
でも話ってなんですか。お願い事って」
「そのまえに」
「え」
「葉山さんと少し話した」
「みたいですね…」
「愛ちゃんの先輩なんだね」
「おれとタメです」
「へー。戸部くんのこといろいろ知ってたよ」
(-_-;)あんにゃろ……。
「葉山とは友人以上の付き合いはありませんから」
「釘を刺すんだね」
「葉山にはそもそもーー」
「えっ!? 恋人がいるの!?」
「まあ、そんなところです。
あ、葉山のプライバシーのために、これ以上は言いませんよ。
ルミナさんも、詮索しないでくださいよ」
「そうだね……彼女、デリケートっぽいから」
「初対面でそこまでわかったんですか」
「女同士だもん!
プライベートな部分に触れたら、傷つけちゃいそうだなー、って」
「おれも葉山との接しかた、ようやくわかってきたところですよ」
「でもさあ、葉山さん、こんなこと言ってたよw」
「どんなことですか?」
「『今日は意表を突こうと思って、いつもより子供っぽい服を着てきたのに、戸部くんの反応、いつもと変わらなかった。
悔しい!』
だってw」
「(-_-;)」
「よく戸部くんをからかうのかな? 彼女」
「逆におれが葉山をからかったこともあるんですが…」
「Σ(゚Д゚)エッ」
「からかい上手なのは、確実にあっちのほうです」
「からかい上手の葉山さん、か」
「そ、それで、お願いしたいことってのは?」
「あー…」
「た、たのみますよルミナさん」
「えーっと、あたし、ちょうど1週間後に誕生日なの」
「24日ですか」
「そう」
「それはおめでとうございます」
「ありがと。
で…でもね、祝ってもらうのは誕生日当日にしてもらいたいの。
あのさーー、
24日の火曜日って、戸部くんの邸(いえ)、立て込んでる?」
「特に何もありませんが」
「じゃ、じゃあーー、
あたしの『お誕生会』の会場を、貸してほしいの」
「おれんちでルミナさんのお誕生会をやるってことですか?
うわーっ、素敵ですねえ!!」
「えっ…ホント??」
「よろこんで会場、お貸ししますよ。
というか、邸(ウチ)の人間も一緒にお祝いしたいですよ。
会場をお貸しするだけじゃなくて、みんなでお祝いしましょうよ!」
「えっ……ぱ、パーティーみたいになっちゃうの」
「いやですか?」
「さ、さいしょは、ギンが言い出したんだよね。大人数で盛大なパーティーに発展すると、趣旨がーー」
「(手帳をサッと出して)じゃあ定員を決めましょう。
20人でどうですか?」
「(゜o゜; えっ、戸部くんのお邸(やしき)って、20人も入れるの…?」
「余裕ですが」
「(^_^;)さすがに20人も呼べないと思うから、今話題のラグビーじゃないけど、15人でどうかな?」
「ではその方向で(手帳にササッと書き込む)」
「戸部くん……戸部くんの邸(いえ)って、ドレスコードとかある?」
「何をおっしゃいますか、そんなもの一切ありませんよ」
「(^_^;)よかったーー、
(-_-;)あんまり大ごとにしないようにしてね、あたしも気をつけるから」
「わかってますよ。」