【愛の◯◯】脱線ウニベルシタス

放課後

学校の図書館

スポーツの文化史: 古代オリンピックから21世紀まで(叢書・ウニベルシタス)

スポーツの文化史: 古代オリンピックから21世紀まで(叢書・ウニベルシタス)

 

 

「すごい本読んでますね、センパイ……」

「おねだん6000円以上だって」

「まるでゲームソフトみたいな価格…」

「ゲームソフトの値段相場って、そーゆーもんなの?」

「羽田センパイはテレビゲームをやったことないんですか!?」

「ほとんどない」

「『ほとんど』ってことは、やったこともあるんですよね」

 

川又さん・・・(^^;)

問い詰めが、得意。 

 

「『パワプロ』ってゲームやった」

「『パワプロ』!? 『実況パワフルプロ野球』ですか!?」

「それ。

 わたしの操作してる横浜ベイスターズが、対戦相手にぼこぼこにされちゃったから、それっきりだけど」

「どなたと対戦されたんですか…」

 

と、

問い詰め第2弾。 

 

「えーっと、あ、アツマくんのことは、川又さん知ってたよね?」

「はい(即答)」

「アツマくんに将棋で1回も勝てなくて悔しかったから、パワプロで逆襲しようと思ったけど、そもそも1回もプレステのコントローラー触ったことがない人間が、まともにパワプロ操作できるわけなくってw」

「--やっぱり仲がいいんですね。」

 

い、いまのわたしのことばで、どうしてそういうとこまで読み取れるの!?

 川又さん、わたしの心が読めるのかしら!?

 

「『ことば』ではなく、」

「へ?」

「『顔』です。

 センパイ、すっごく楽しそうな顔で話していたので」

 

 

カーーーーーッ

 

 

「だ、大丈夫ですかセンパイ!? 微熱があるんじゃあ」

うん……、

 少しだけ頭、冷やしてくる……

 

× × ×

 

わたし、どうして気づかなかったんだろう。

 じぶんが『顔に出る』タイプだって

「(;^^)センパイは、『どうして?』っていう問いかけが、ほんとうにお好きなんですね」

「哲学者に向いてるのかもしれない、って自分でもときどき思っちゃう」

 

 

スポーツの文化史: 古代オリンピックから21世紀まで(叢書・ウニベルシタス)

 

「ところで……、

 この本の内容に、今回、まったく触れていないのは、ちょっとだけ由々しき事態かもね」

「『今回』って、なんですか!?」

「川又さん、筒井康隆って作家、知ってる?」

「知っていますが!?」