【愛の◯◯】土曜朝10時といえば……

土曜の朝

リビングに降りてきたら、

だらしなく、愚兄が二度眠りしていたので、

蹴ってやった。 

 

「どわあああああああああああああ」

「どう!?w 目が覚めたでしょ」

「『抱きつき』の次は『足蹴り』かよ・・・」

「『抱きつき』? 何の話? いやらしいよ、お兄ちゃん」

「ん…まあいいんだ、忘れてくれ妹よ」

「とにかく、だらしなさすぎだよ、土曜だからって。

 顔洗ってきなよ」

「はいはい……」

 

「もう10時かあ」

 

・テレビを点けるとテレ東だった

 

「あれ、アニメやってるけど……、

 プリティーリズムじゃない」

 

「そりゃとっくに終わってるだろ。いまは『プリ☆チャン』って言って、曜日も日曜になったらしいぜ」

「なんでそんなこと知ってるの? お兄ちゃんが」

「おれのサークルの隣のサークルが、児童文学サークルだから。『ルミナさん』って先輩が、近所の子供からそういう情報を仕入れてきて」

「お兄ちゃん、サークル掛け持ち状態じゃない、それ…?」

「かもな」

 

「あすかはプリティーリズム好きだったもんなあ」

「『プリティーリズム・オーロラドリーム』を初めて観たとき一目惚れして、毎週この時間帯、テレビの前で夢中になって観てた。

 続編の『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』も、テレビの前で夢中になって観てた。

 『プリティーリズム・レインボーライブ』のころになると、さすがに学年的に冷めてきたんだけれど、ストーリーが子供だましじゃなかったから、やっぱり毎週観ていた。」

 

「『プリパラ』は?」

「1話も観てない」

「なんでw」

「『卒業』ってやつだよ、お兄ちゃん」

 

「ところで……、

 お兄ちゃん、

 おねーさんって、スケートできるかどうか知らない?」

「愛が!? スケートできるかって!?

 ちょ、ちょくせつ訊けばいいだろ」

「……お兄ちゃんのほうが詳しそうだったから」

「あいにく、存じ上げておりません」

「あっそ……」

「でもなんでいきなりスケート」

「ほら、必殺技で、『プリズムジャンプ』ってあったでしょ?」

「ひ、必殺技!?

 うろ覚えだけど、たしかに、スケートしながら踊って歌ってたような」

「プリズムショーはそれだけじゃないでしょ。

 プリズムジャンプするの、プリズムジャンプ!!