わたし、八木八重子。
100%浪人生。
好きなハン◯ーハン◯ーの登場人物は、クラピカ。
久しぶりに羽田さんの顔が見たくなって、
わがままを言って、
夕方、戸部くんのお邸(やしき)を訪れたのだった。
× × ×
「八木さん、受験勉強お疲れ様です。
あ!
ついいつものクセで、コーヒー淹れちゃったんですけど、もしかして紅茶のほうが気持ちが落ち着きましたか!?」
「(^_^;)大袈裟だねえ」
コーヒーを飲む羽田さんの顔を盗み見る。
羽田さん、また大人っぽくなって、
美人になった。
ーーやれやれ。
「あれ?
珍しい。
羽田さん、マンガ読んでるの?」
「なぜかそこらへんに文庫本が置いてあって、取ってみたら、漫画文庫だったんです」
「(^_^;)そこらへんってw」
「『生徒諸君!』って少女漫画なんですけど」
「あー、名前だけみたことある。というか今も続編やってたかも」
「相当古いマンガですね。わたしたちのお母さんの世代…なのかな?
もしかすると、もうちょい上かも……」
「表紙の女の子が『ナッキー』ってあだ名で主人公なんです。ナッキーは中学3年で、『チビ』っていういわゆるお相手役の男子とか、同級生の仲間たちがいろいろいるんですけど、グループの名前が『悪たれ団』っていってw」
「いかにも2つ前の元号的ネーミングねw」
「まぁ、元号が2つ前だからって、絵やことばが古いからって、つまらなくなるわけでは全然ないんですけどね」
「それはそうね。70年代マンガとか80年代マンガとか、ほとんど読んだことないけど」
「で、ですね。重要なのは、説明でお分かりの通り、
主人公のナッキーが通う中学ーー、
共学なんです」
「そ、それはそうだよね」
「共学なんです。
男子バスケ部の応援したり、『学芸会』っていう行事でミスコンやったり、あ、ミスコンと同時にミスターコンテストも同時開催してた、とにかく共学ならではのイベントが次々に……。(ピキピキ)
だってですねえ!!
このページ見てくださいよ! 56ページのいちばん下のコマですけど、男子と女子で一緒にタコ焼き食べてるんですよ!!」
「あ、ほんとだ」
「青春云々以前に、共学!!」
「(コーヒーを飲みながら)そ、そりゃわたしたち中高と男女別学なわけだからねえ、羽田さんがうらやむのも、理解できなくはない、よ?w」
「まぶしすぎます!!
おもしろいからいいけど!!」
「(;ノ∀`)アチャー」
「(コーヒーカップを置いて、)でもねえ。
よく考えてみれば、わたしーー、
いま、共学の学校に通ってるんだった」
「ポポポポポ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)ポカーン…」
「や、共学だけに驚愕、みたいな顔しないでねww」
「どういうことですか? 高校に入り直したんですか」
「お、落ち着いて、羽田さん。
ーー予備校よ。」
「あ」
「たのしいよ、予備校。あえて大手じゃなくて規模の小さいとこ選んだんだけど。月謝が安かったから。
うちの予備校共学だし、そんなに『生徒諸君!』の世界がまぶしいのなら、羽田さんも来たら?」
「(((((((( ;゚Д゚))))))))ふふふふきつなこといわないでください」
「…(^_^;)ごめん、卑屈なこと言っちゃった。
大丈夫だよ、羽田さんなら、どんな大学だって、現役で受かるから」
「(照れて)そ、そうですか?」
「それにあなたまだ若いんだから、受験のこと意識しなくてもいいの。高2でしょ?」
「(;・∀・)八木さん、老け込まないでください。」