【愛の◯◯】あすかちゃんのするどさにタジタジになるわたし…

放課後、

川又さんの実家が営む珈琲専門の喫茶店で、

美味しい珈琲をいただいて、帰ってきた。

さすが……。 

 

あすかちゃんが先に帰っていた。

リビングのテーブルで、制服を着たまま、何やら大きなプリントのようなものに目を通している。

 

いや、あれ、ただのプリントじゃなくって、あすかちゃんが部活で出してるっていう、校内スポーツ新聞じゃないかしら?

 

わたしもあすかちゃんが書いた記事を読ませてもらったことがある。

 

わたしには真似できない文章力ーー、

そう、素直に思った。

 

でも、『わたしこんなに巧(たく)みな文章書けない』なんて言って、

あすかちゃんに要(い)らないプレッシャー与えちゃったらいけないから、

今はあえて、そういうことを、彼女には言わないでいる。

 

見ると、あすかちゃん、

おもむろに写真を取り出して、

机にパパパッと並べはじめた。 

 

どうしよう…w

『ただいま』って言わなきゃ。 

 

 

「ただいま、あすかちゃん」

「おかえりなさい、おねーさんっ。

 

 ーーって、

 な、なんで、こっち向いてないんですか?」

 

「(背を向けたまま)いや、あすかちゃんは、プロだなあ…って」

「プロ? なんのプロですか!?」

「新聞のプロ」

「???」

 

 

わたしは、あすかちゃんが写真をしまうまで、

あすかちゃんのほうを向いておかないであげることにしようと思った。 

 

ーーなんか写真がらみで、利比古がプライバシーに抵触してしまったようなことがあったみたいだし。

 

そういえば、サッカー部の写真も、撮ってるのよね?

 

藤村さんの地位をマオさんが引き継いだことは、聞いた。

 

あすかちゃんは、サッカー部担当らしいから…、

そうか、 ハルくんに取材とかも、してるのかなあ?

 

あれ!?

よく考えたら、あすかちゃん、当然ハルくんのいる高校通ってるのに、

高校入学から1ヶ月半経過して、

ハルくんの話題、

あすかちゃんの口からは、

耳にしたこと、一度もないような。

 

 「(^_^;)おねーさん、いい加減こっち向いてくださいよぉー」

 

「わたしがそっち向いても、不都合ない?」

 

写真なら、もう部屋にしまいました。

 

 

 

 

「えっ……」

 

な、なんか、

イヤな予感がするんですけど、

これは何に関する、

「だれ」に 関する、

イヤな予感ーー!?

 

 

「わたしが見られて困るものもう片したから、大丈夫ですよ、こっち向いても」

「(;-_-)そ、そうね、ごめんね。」

 

 

 

 

 

夕食後ーー。

 

あわててアカちゃんに連絡して、

あした放課後、

アカちゃんの家に行ってもいいか、

アポイントメントをとった。