【愛の◯◯】「君ならできる」

お兄ちゃんと、おねーさんのおとうさんが、

向かい合って話している。

 

サシ向かい、ってやつ?

 

わたしは、ひたすらお茶くみ係。

 

「アツマくん、はやく君と、お酒を酌み交わせるようになるといいなあw」

「はは・・・w おれ早生まれなんで、成人まであと2年近くありますけど」

 

「大学はどうかね?」

「ぶっちゃけ、おもしろい科目とつまらない科目が、半分半分ってところですね」

「おっと、半分半分なら、だいぶ幸運だよ~、アツマくんはww」

「そ、そうらしいっすねwww」

 

「ーーでも、ゴールデンウィーク明けは必ずキャンパスから人が減っていくって、いろんな人が言ってるんで。

 とくに今年は10連休なんで。

 気を引き締めて、サボらないようにします!」

真面目だ! えらい!

 

(-_-;)あんなこと言っちゃって…… 

 

 

 

でも、あれで有言実行タイプなんだから、

わたしは兄を憎めない。

 

「でも、真面目一辺倒だと、かえって周りにも迷惑をかけちゃうこともあるものだからね」

「す、鋭い指摘、ありがとうございます」

「ま、息抜きも兼ねてーー、愛によくしてやってくれよ、アツマくん」

「(^_^;)よくしてやる、ですか……」

 

リビングから、

ふたりの話し声が聞こえなくなった。

 

 

 

沈黙ーー。

 

 

 

と、思ったら。 

 

「あ、アツマくん」

「は、はいなんでしょうか、おとうさん」

「愛の……、

 愛の、支えになってくれないか

 

「支えに……、ですか?」

「アツマくん、

 君ならできる

 

 

支えられてるのは、お兄ちゃんだってそうなんだと、わたしは思う。

 

けれども、

おねーさんのおとうさんは、いいおとうさんだ、

そう、しみじみと、感じることができた。