【愛の◯◯】恋愛小説家の悟り(?)

文芸部の部活中――

 

伊吹先生「♪~(´ε` )」

 

わたし「せんせい、読書会やってるワキで、鼻歌歌わないでください…」

伊吹先生「Σ( ;゚д゚)アッ!!」

 

香織センパイ(部長)「チャットモンチーの『恋の煙』ですよね」

わたし「か、香織センパイが、乗っていった!?」

 

 

恋の煙

恋の煙

 

 

伊吹先生「そうだよ~よくわかったねえ、あたしが高校生の時の曲なのに」

香織センパイ「”歌詞”が好きなんです」

伊吹先生とわたし「へぇえ~」

香織センパイ「羽田さんまでハモらなくともw」

 

 

 

部活終わり

帰り道にて

わたし「あの……香織センパイ」

香織センパイ「『恋の煙』のこと?」

わたし「はい、”歌詞”が好きだ、ってセンパイが言ってたのが気になって」

香織センパイ「(自嘲気味に)やっぱりw」

 

香織センパイ「わたし恋人いない歴17年で……ことしで18年か」

わたし「(;´Д`)あ、あの、わたし、やっぱりへんなこと訊いちゃったみたいです」

香織センパイ「(なぜかスルーして)恋愛小説書いてるの。恋人いない歴17年以上なのに。なんども原稿用紙丸めてるから、ぜんぜん完成しないけど」

 

手書きなんだ。 

 

香織センパイ「(なぜか語り口がなめらかになって)でもね……恋愛小説書き続けてると、『恋の煙』の歌詞が理解できるようになったの。

 ほら、リアルな恋愛体験しないと、恋愛小説にしても恋の歌にしても理解できない、ってよく言うじゃない?

 わたしも恋愛小説書き進めて、何度も原稿用紙丸めるようになるまでは、そうなんだろうな、って思ってた」

 

風がそよぎ、

枯れ始めた桜が揺れ、

香織センパイのスカートも揺れた。 

 

香織センパイ「でもーーあれ、ウソだったんだよ。」

わたし「あれ、というと、つまり?」

香織センパイ「恋愛体験云々の俗説」

 

リアルな恋愛体験しないと、恋愛小説にしても恋の歌にしても理解できない

 

……なるほど。

↑の『俗説』を、うさんくさいとはいわないけど…、

一理ある。

 

香織センパイ「(笑って)だって、ひとは恋愛体験を、つくり出せるんだもの」