【愛の◯◯】愛に教えられるばっかじゃ、だめだから

 

Group Therapy 300 Live from Hong Kong - Andrew Bayer

Group Therapy 300 Live from Hong Kong - Andrew Bayer

 

 

・アツマはきょうも音楽サークル「MINT JAMS」の新歓ブースをのぞいていた

アツマ「ライブで聴いてる人も気持ちよさそうだろうなあ。踊り通すには、そうとう体力が必要そうだけどw

 なんていうんですっけ、こういうDJ的な、ハウス、というか、トランス、というかーー」

ギン「EDMって最近よく目にしない?」

アツマ「あ、見たことあるかも」

ギン「EDMってね、単に『エレクトロ・ダンス・ミュージックElectronic Dance Music』の頭文字を合わせただけなんだよw」

アツマ「あ、たしかに」

ギン「ハウスやトランスは、EDMのジャンルだね。でもめんどくさいから、とりあえずそれっぽいのはEDMって言ってしまえばいいと思うよ」

アツマ「そんなガバガバでいいんすかねww」

 

ほんとうにいい加減ね

 

アツマ「あ、ギンさんの幼なじみのーー」

ルミナ「(赤面)

アツマ(あ、あれ? 幼なじみって言っちゃあ駄目だったんだろうか)

 

ルミナ「音が大きいから絞ってもらいたいんだけど💢」

ギン「えーっ」

ルミナ「だいたいなに!? さっきの説明、ウィキペディアの丸パクリみたいじゃない」

ギン「実際そうだけど」

ルミナ「もっと怒るよ!?

ギン「だってEDM勉強しだしたの最近だし」

アツマ(EDMみたいな音楽も「勉強」するものなんだ…すごいな)

 

ルミナ「(PC画面を覗き込んで)Spotify再生して大音量で流してるだけじゃん…あきれた」

ギン「ちょっルミナ近い」

ルミナ「!!(その場から飛び退く)」

 

 

ルミナ「ね、ね、ね、ねえ、新入生くん、あたしのサークルも、みみみ見ていかない?

アツマ「(^_^;)その前に、深呼吸しませんか?」

 

× × ×

ルミナ「児童文学のサークルなの。歴史は比較的新しいんだけど」

アツマ「(『虹北学園』と書いてあるポスターを見て)にじきたがくえん??」

ルミナ「ああ、それは、『こうほくがくえん』って読むの」

 

アツマ「なにか由来があるんですか?」

ルミナ「( ^_^)ふふw じぶんで調べてみて」

 

 

 

~帰宅後~

 

愛「児童文学のほうも面白そうね」

アツマ「おまえは大学生じゃないだろ」

愛「(-_-;)くっ……」

 

アツマ「おれ大学のことはぜんぶ自分で決める」

愛「大丈夫なの?」

アツマ「だっておまえ大学生になったことないだろ?

愛「(・_・;)……」

アツマ「おまえはおまえのことをやれ

愛「( - _ - ; )……」

 

アツマ((;´Д`)や、やべ、気まずい? 正論を言ったつもりが……)

 

・愛は黙って自室に戻っていき、本をたずさえてアツマのところに戻ってきた。

 

 

亡霊は夜歩く 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)

亡霊は夜歩く 名探偵夢水清志郎事件ノート (講談社青い鳥文庫)

 

 

愛「これを読めば『虹北学園』っていうサークル名がなんのことを指してるかわかるわ」

アツマ「まじか。(ペラペラ)

 ーーあ、そういうことかぁ!

愛「授業が始まるまでに読んで」

アツマ「大学では『授業』じゃなくて『講義』って言うんだよ~ん」

愛「(・_・;)

 

愛「(Д`;)ぞ、続巻の『踊る夜光怪人』も面白いから、もしよければ…」

 

アツマ「あのさ」

愛「うん…」

 

 

アツマ「どこまでおれが、自分で自分に厳しくできるか、わかんないけどーー、

 大学のことに関しては、ほんと、ケジメつけたいんよ」

愛「うん……」

アツマ「おととい……入学式の日、入学式終わったら、母さん、泣いてた」

愛「……」

アツマ「ほら、父さんのことだってあったから」

愛「うん……」

アツマ「大学のことは、おれが教えてやるよ。講義がどんなだとか、サークルがどんなだとか」

愛「うん……」

アツマ「おまえに教えられるばっかじゃ、いかんのよ」

愛「…………わかってる、わたし勉強する

 (ダッシュで自分の部屋に帰る)」

 

 

青い鳥文庫『亡霊は夜歩く』の表紙を見つめるアツマ。

 

あれでーーよかったのかな。